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NEWS【転載】【Well Active Community 参加企業インタビュー】街づくりの取り組みを学術的に測定して、評価を見える化~三井不動産~

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  • まちの健康研究所「あ・し・た」
  • 三井不動産株式会社

2024年03月29日

街づくりの取り組みを学術的に測定して、評価を見える化

しっかりした物差しの評価が魅力
 三井不動産では、2005年から「柏の葉スマートシティ」として、千葉県柏市柏の葉キャンパスエリア(以下、柏の葉エリア)の街づくり事業を推進しています。同年、つくばエクスプレスが開通。柏の葉キャンパス駅が開業したのを契機に、「公・民・学」連携による新たな街づくりがスタートしました。

 その翌年には、「柏の葉国際キャンパスタウン構想」に基づいて、街全体が大学のキャンパスのように、緑豊かな環境の中に人の賑わいの映える快適な街を目指し、「公・民・学」連携のもと、柏の葉エリアにおける様々な事業の企画・調整・推進を担う拠点・柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)を開設し、様々なプロジェクトを推進しています。

 現在は、街づくりを通して日本の様々な課題を解決することを目指し、「世界の未来像をつくる街」というコンセプトを掲げ、課題に対する3つのテーマ「環境共生・健康長寿・新産業創造」に特に注力しています。

 そんななか、当社がWACoの取り組みを知ったのは、2021年に柏の葉で年に1回実施しているイベント「柏の葉イノベーションフェス」に、千葉大学予防医学センターの近藤克則教授がご出演してくださったのがきっかけでした。WACoが掲げる「暮らしているだけで、健康で活動的になるコミュニティ」という研究テーマは、「健康長寿」を注力テーマの一つにしている当社が目指す姿と重なり、WACoの予防医学の取り組みに共感して、参画しました。

 もともと柏の葉エリアは、「健康長寿」のテーマのもと、UDCKを中心として交流が生まれやすいデザイン、歩きやすい空間づくりなど、様々な街づくりの取り組みを行ってきました。一方で、その効果をモニタリングする正確な物差しがなく、どれだけ人々の健康に街が寄与しているかの評価が難しいと考えていました。しかし、近藤先生のお話を伺い、これまでの街の取り組みの評価を学術的に測定、見える化し、ウェルビーイングにつながる要素が特定できれば、柏の葉エリアだけではなく他のエリアでも展開できるのではと考えました。

 具体的には、近藤先生や井手先生の過去の調査研究結果※から、社会参加している人は要介護認定を受ける人の割合が少ないことが分かっていましたが、それがどういうメカニズムなのか不明でした。

 そこで当社では、実証機会の提供と、調査にご協力くださる柏の葉エリアに住んでいる方への広報としての役割を担うとともに、千葉大学では、どのような調査方法をとればメカニズムの分析ができるかのロジックモデルを組み、実際にその統計解析を行って研究結果をまとめていただく。そのような役割分担のもとで共同研究を実施しています。

※ Ide K, Tsuji T, Kanamori S, Watanabe R, Iizuka G, Kondo K. Frequency of social participation by types and functional decline: A six-year longitudinal study. Arch Gerontol Geriatr. 2023 Sep;112:105018.

 アンケートを元に分析することは、民間企業だけでもできるのですが、WACoでは予防医学の知見を踏まえて、他の研究と比較したり、統計学的なアプローチによってしっかりした裏付けのあるデータが得られたりする、という点が大きなメリットだと感じます。


公・民・学の連携共創による街づくりを進める柏の葉エリア

 

企業と連携した住民共創型共同研究
 現在当社は、WACoにおいて2つの研究を進めています。

 一つは、柏の葉エリアの居住者が、全世代に渡って心身ともに健康か否かの調査とその関連要因の検証です。これは、日本老年学的評価研究(JAGES)が調査した柏市のデータなどを用いて、柏の葉エリアの地域環境の現状や、課題を把握し、柏の葉エリアに居住する高齢者が住んでいるだけで「健康長寿」となるかの検証、ならびに他市町村との比較分析を行っています。

 もう一つは、住むだけで健康・幸せになる街づくりに向け、ハード・ソフト両面からの要因を解明することです。こちらは、健康・幸福になる街づくり要因の詳細な評価のロジックモデルの構築と、経験サンプリング法を用いた調査実施計画・チャットボット実証実験の検討を行っています。

 共同研究は3年間のプログラムなので、正式な研究成果の公表は今後を予定していますが、柏の葉エリアの特徴の一つでもある、誰でも利用可能なオープンスペースや休憩可能なベンチの多さといった点が心地よさにつながり、住民の皆さんの幸せの感じ方が高まっているのではないか?という仮説のもと研究を進めています。

 WACoは複数の企業が参画していますが、企業同士の連携という観点では、近藤先生にご紹介いただき、NTTドコモ様が持っているチャットボットを活用して、SNSの情報発信による幸福感向上の実証実験を実施しました。横断的に企業間連携のもとで、新たな共同研究ができたという点も、WACoに参画してよかったことだと考えています。

 


ヘルスケアの最先端が集まる参加型の健康づくり拠点で調査を実施

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柏の葉スマートシティのソーシャルメディア

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