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TOPICS【共創事例】 横丁から柏市全体へ!柏の葉かけだし横丁発「柏の名物ドリンク」開発プロジェクト

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柏の葉キャンパス駅横の高架下、赤ちょうちんが並ぶ「柏の葉かけだし横丁」は、地域の新しいコミュニティや賑わいを生み出すことを目指し、2018年にオープンしました。立ち上げから7年目となる今年、横丁のさらなる発展と、横丁を起点としたさらなる地域コミュニティの活性化を目指して「柏の名物ドリンク」開発プロジェクトが立ち上げられ、進行中です。
実現の経緯や、このプロジェクトにかける想いなどについて、柏の葉かけだし横丁事務局の持地剛さん、「喜弦」店主の西喜則さん、柏に根差して活動している料理研究家の大瀬由生子さんにお話を伺いました。

かけだし横丁から柏の街を盛り上げたい!日本中に柏を誇りたい! そんな想いを持った人々が集まって、一つのドリンクを考えました。

―まず、ドリンク開発プロジェクト立ち上げのきっかけを教えてください。

持地さん:私は2024年8月からかけだし横丁3代目の事務局に就任して、まだ半年程度です。まずは積極的に店主の方々とコミュニケーションを取る必要があると考え、皆さまから様々なお話を伺ってきました。そうした中で、横丁もリスタートの時期だと感じ、年間を通して核となる、かけだし横丁一丸となって取り組むプロジェクトを立ち上げたいと思っていたんです。
そんなタイミングで、ある時、「台湾楽市 Daizen(大然)」の店主・楫野さんから、オリジナルドリンクを使ったまちおこしの事例を教えていただいて、これは良いな!と。かけだし横丁で全店統一ドリンクを作る企画をまとめて三井不動産の小林さんにご提案したところ、賛同していただき、実現することとなりました。
さらに、そのタイミングで、かけだし横丁に柏市長がいらしたのです。「だし巻き玉子 THE EGGMAN」でご一緒して、この企画案をお話ししたところ大変ご共感くださり、市役所のご担当者をご紹介いただきました。こうした幸運な経緯があって、かけだし横丁や柏の葉だけでなく、柏市全域を盛り上げることを目標として、プロジェクトが立ち上がりました。

―かけだし横丁ならではの出会いが生んだプロジェクトなのですね!

持地さん:はい、そこからさらにたくさんのプレーヤーがこの企画に参加してくださることになりました。具体的に進めていくにはまずレシピを考えてくれる方が必要です。私はKOIL会員でもあるので、コミュニティマネージャーの大須賀さん、高橋さんに相談しました。柏で「食」と言えばまずこの方ですよ、とまずご紹介いただいたのが、料理研究家の大瀬由生子さんです。お会いしたところ意気投合して、その場でドリンクのレシピ考案を依頼しました。

大瀬さん:最初に話をいただいた時からぜひやってみたいと思いました。まちを活性化するには何かのきっかけが必要ですよね。それがドリンクだったら、人と人とが集まって会話をしながら一緒に飲むという「飲みコミュニケーション」的な要素が強いので、とても効果的だと思います。また、「柏の葉の名物を創る」というテーマは、私が以前から様々なカタチで取り組んでいるものなのです。ですので、素敵な企画ですね!と、二つ返事でお請けしました。

持地さん:それと、柏発のお酒と言えばニッカウヰスキーですよね。お声がけしたところ、親会社のアサヒビール千葉支店にもご協力いただけることになりました。この時点で柏市役所、ニッカウヰスキー、三井不動産、大瀬さん、かけだし横丁事務局という陣容が固まり、統一ドリンク開発についてディスカッションを始めました。

また、ブランディングやマーケティングをKOIL会員の皆さんにお願いしたい、というのも私のこだわりでした。地域のドリンクですので、販売促進も地域のみんなでやっていきたい。これもコミュニティマネージャーにお願いして、KOIL会員でディレクター、ライター、デザイナー、ウェブ制作、カメラマンのチームを組んでもらいました。

このドリンクが普及することで、柏の誇れる文化をたくさんの方に知っていただければ嬉しいです。

―横丁の1シーンから始まったアイデアが、かなり大きな取り組みになっていったのですね!そこから今度は具体的にドリンクの内容が決まっていくわけですね。

持地さん:レシピを考える上で、大瀬さんに3つの条件をクリアするようにお願いしました。まず、柏を連想させるもの。それが具体的な産物なのか、イメージなのかはお任せしました。次に、お店でつくる際の手順が簡易であること。そして、横丁に合った価格で出せることです。
かなり面倒な条件を付けてしまったのですが、今年1月に大瀬さんからなんと9種類もの案が上がってきました。正直想定以上だったので驚きましたよ。さっそく、まずプロジェクトチーム内で9種類を試飲し、意見交換をして、4種類に絞りました。さらに、その4種類を店主さんたちに飲んでいただいて、ご意見を頂戴して2種類まで絞りました。これを踏まえ、このドリンクは街の皆さんと一緒につくることが大切なので、最終投票は街の皆さまにお願いしようと。柏の葉キャンパスの駅前やNECグリーンロケッツ東葛の試合会場、JR柏駅前でパネルを用意して、どっちを飲みたいかをシールで投票していただいたんです。

―大瀬さん、レシピを9種類も考案されて大変だったのではないでしょうか?

大瀬さん:そうですね(笑)、でも楽しかったです。これまでの経験値で、コストとオペレーションの制約については想定内でした。かけだし横丁のようにワンオペや少人数で切り盛りしている飲食店の場合、一度にたくさん注文が入った時に滞らないようにすることはとても大切です。また、実際に飲んでいただかないと、つまり注文していただかないと始まりませんから、ローコストであることは言われるまでもなく当然必要だろうと。そしてもう一つ、「素材の手に入りやすさ」も重要で、なかなか手に入りづらいものや、飾りを作るために時間がかかるのも駄目なので、かなり考え抜きましたね。あとは、「柏のドリンク」というコンセプトでの切り口はとてもたくさんありますので、どこを見せるべきか、何を選択するか、ずいぶん悩みました。

―そこまで考えられて、ボツになった8種類のレシピはもったいないですね(笑)

大瀬さん:そうですね。ボツになってしまったレシピの中にも面白いものがたくさんあります。例えば「柏餅」をイメージした緑のカクテルとか。
あと、私は「日本糀文化協会」の代表理事としても活動していますので、「発酵醸造」を取り入れたカクテルもいくつかつくりました。ご存知ない方も多いのですが、実は柏は発酵文化が深く根付いた街なのです。千葉県全体がそうですし。醤油やみりんをお酒に入れるのは今まであまりなかったことだと思うので、発酵食品は絶対入れたいと思いました。話題にもなると思います。

―醤油やみりんの入ったカクテルは画期的ですね!でも、「醤油は野田ではないか」という声もあったようですが。

大瀬さん:実は、柏の葉にある、現在「旧吉田家住宅歴史公園」になっている吉田家では、大正12年まで醬油を製造していたんです。大正11年に野田醤油株式会社(現キッコーマン)に経営権を売却されて、その後は野田醤油株式会社花野井工場として醤油を出荷している記録が残っています。また、今回のカクテルベースになっているウイスキーやジン、ウォッカは、ニッカウヰスキー株式会社製なのですが、それは柏にニッカ最大の総合パッケージング工場があるからなのです。

―そのあたりの話は意外と知られていないかもしれないですね。柏の人こそ、もっと知って欲しいですね。

大瀬:本当にそうですよね。このドリンクが普及することで、柏の誇れる文化をたくさんの方に知っていただければ嬉しいです。

あともう一つ、レシピ考案の上で大事だったのはビジュアルでした。色や雰囲気を綺麗なものにして、たくさんの方に話題にしてもらえるようにということも考えて作りました。例えば、柏の名物にもなっているパンザマストから流れる「夕焼け小焼け」などから連想した夕焼けのイメージの色とか。映えっていうやつですよね(笑)。あと、今まで横丁に来たことがない方たちがお店に入りやすくなるようなイメージのものに出来ればと。

全国から視察に来るようなものを目指して。「今でこそ柏市全体で盛り上がっていますけど、最初はかけだし横丁から生まれたんですよ」みたいなストーリーをつくっていきたい。

―このドリンクが今後たくさん飲まれていくといいですね。

西さん:目に付くところにポスターを掲示するとか、しっかりと宣伝していけば、注文していただける商品になると思います。例えば若い子たちがポスターやSNSを見て、飲みたいな、と思って来てくれれば間口が広がるかなと。このオリジナルドリンクをきっかけに商圏を広げていければ嬉しいですね。

大瀬さん:お酒が苦手な人とかでも、ちょっとかわいいとか、女子ウケするとか、何かそういう要素があるといいかなって思いながら作りました。

西さん:そうですよね。僕らはオペレーションを簡単にしたいなと思うんですけど、簡単にしすぎることで売れないものになってしまったら何の意味もないし、その辺のバランスをとるのが大瀬さんは大変だったのではないかと思います。大手のメーカーがいろんな美味しいお酒を出している中、さらに新しいものを出して、なおかつ柏に絡めながら簡単に作って安くしようっていうのはほんとに難しかったと思いますよ。

大瀬さん:うん、本当大変でしたよ、これは(笑)

―間口を広げるという話では、ノンアルコールバージョンも作ると聞きました

持地さん:実は私自身がお酒を飲めないので…(笑)

西さん:たまに、お客様に「子ども用のビールないの?」って聞かれるんですよ。それはなぜかと言うと、横丁で大人たちと一緒にいる子どもが、大人の仲間に入りたいって思うんですよね。これも柏の葉ならではだと思うんですが、お酒を飲む場所にしては、うちの横丁は子どももかなり多いんです。ノンアルは持地さんみたいなお酒飲まない人にもいいですけど、大人っぽいことがしたい子どもが、最初の乾杯だけでも一緒に出来るのが良いですよね。僕もあなたも、彼女も、みんなで乾杯できますよ、と上手にアピールしていければと思います。

大瀬さん:あと、持地さんが、ノンアルもメガサイズ作るっていうんですけど、それ要りますか?と(笑)。

西さん:実はかけだし横丁の場合、テラス席で飲んでると、次のメニュー注文するのがちょっと面倒くさくなっちゃったりするんですよね。ですので、うちもハイボールはメガ出してます。ビールは美味しくなくなっちゃうから出してないんですけど。ノンアルも多分メガがあれば、テラス席でゆっくり食べながら喋りたい人のニーズは高いと思いますよ。

大瀬さん:なるほどー。

西さん:私自身、こういうタイプのお店はたくさん行きましたけど、かけだし横丁は良い意味でとても特殊だと思います。お客さんは穏やかな方ばかりですし、子どもたちが走り回っている赤ちょうちんなんて見たことないですよ(笑)。なので、このドリンクだったら、お子さんも同じグラスで、「家族みんなで同じドリンクで乾杯!」みたいなのは楽しいはずですよ。あと、飲めないお客さんがお店に気を使ってウーロン茶とか頼んでくれることもあるんですけど、中には「水でいいわ」っていう人もいます。そういう人にこういうノンアルドリンクがあれば、お店としても売上になりますしね。

大瀬さん:忘れられるのと興味を持たれないのが一番ダメなので、どんな形でもいいので広めていきたい、残していきたいです。そのためにもこのドリンクは、「そんなものが入っているの?」とか「それなんですか?」っていう驚きがないとね。単純に話題のものを入れてあんな感じかなって想像させるんじゃなくて、なぜそんなことするんですか?っていう問いに答えがあって、「飲んでみたい!」と思っていただけるようにしたいですね。

西さん:柏のたくさんの方を巻き込んで、「千葉の柏で面白いことやってるよ」「参考になるから柏の葉スマートシティに行こうよ」って、県外の人でも知っている成功事例となるくらいのイメージで取り組みたいですね。大きい話をするようですけど、全国から視察に来るようなものを目指してやらないと。試しにちょっとやってみましょうか、程度の気持ちでやったら絶対飽きられて終わっちゃうんですよ。

持地さん:「今でこそ柏市全体で盛り上がっていますけど、最初はかけだし横丁から生まれたんですよ」みたいなストーリーにしていきたいですよね。
これが最初の第一歩だから、ものすごく大事だと思って取り組みます。みんなで一緒に進んで行きましょう!

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