TOPICS【ARAV株式会社インタビュー】「足元の中小・中堅建設会社の課題解決から、宇宙土木まで。革新的なロボット技術を駆使し、社会課題を解決したい。」
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- KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)
- KOIL MOBILITY FIELD

ARAV株式会社は、建設機械の遠隔操作・自動操作のソリューションを提供するスタートアップです。近年、KOIL MOBILITY FIELDを積極的に活用して開発・実証を行っており、近くを通りがかった方は、同社が大きな建設機械を遠隔で動かしている様子を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同社の事業内容や柏の葉での計画について、代表取締役の白久レイエス樹様にお話をうかがいました。
危険が多く、人手不足などの課題も多い建設業界に向け、建設機械の遠隔操作・自動操作を開発・提供しています。
―まず、御社の事業内容や独自性・強みについて教えてください。
ARAV(アラヴ)という社名は、 “ARCHITECTURAL(建築)”“ROBUST(堅牢)”“AUTONOMOUS(自律的)”“VEHICLES(車両)”の4つの単語の頭文字から名づけました。その名の通り、当社は建設機械の遠隔操作・自動操作を開発・提供するスタートアップです。新車だけでなく、中古の建築機械も含め多くの建設機械に「後付け」できるのが当社の強みです。また、遠隔操作と自動操縦・運転を一社で対応できるのは当社のみだと考えています。
建設や災害復旧などの現場は危険も多く、人が入れないようなケースもあります。建設機械を自動で操縦したい、遠隔で操作したい、というニーズは昔から強く、30年以上前からスーパーゼネコンなど多くの企業が取り組んできました。ただ、それらの多くはとても大規模なシステムになりがちでした。当社ではコンパクトなプロダクトをワンストップで提供しており、大手企業はもちろん、中小の事業者さんでも導入していただきやすいのが特長です。
また、昔から取り組まれているとはいえ、遠隔操作・自動操縦の技術は、通信遅延の問題や複雑で多様な動きへの対応など、まだまだ改善の余地が大きく、新たな技術や通信規格なども日々登場しています。KOIL MOBILITY FIELDを中心的な拠点として、新たな技術の開発にも力を入れています。
―白久さんは、どういう経緯・動機でARAVを創業したのでしょうか。
実はARAVは私にとって3社目の起業なんです。
私は学生時代からロボットが大好きで、ロボット工学に熱中していました。最初の起業は大学院の修士課程の時ですので、学生起業ですね。アーティスティックなエンタメ系ロボットを開発していました。大きなロボットの中に入って動くとロボットが同じ動きをする、というようなものです。その会社は卒業時に事業譲渡して、自動車メーカーに就職し、自動運転支援のシステム開発をしました。
その後、カリフォルニアで自動運転のベンチャーを起業。これが2社目です。ただ、公道試験などを続けたのですが、事業としてなかなか前に進めることができない状況でした。そんなときに、日本の建設会社から建設機械の自動運転・自動操作についてご相談をいただいたんです。お話を伺うと、建設業界の課題は深刻で、この課題・ニーズを解決することは社会的に重要だと感じました。逆に言えば、後発でもまだまだやれる余地がある。それでこの業界に特化することを決め、ARAVを立ち上げた次第です。
インフラや環境が整ったKOIL MOBILITY FIELDのおかげで研究開発が楽になりました。また、柏の葉に来るとリラックスできるんです。
―なるほど。そんな御社が柏の葉を拠点の1つとした理由や、柏の葉とのご縁についてお聞かせください。
元々東京大学大学院の修士時代に柏キャンパスに通っていたので、柏の葉のことは以前から知っていました。ただ、今お話した経緯でアメリカに行っていたりしたので、卒業後はあまり来ることはなかったです。
ARAVを起業した当初は富士市で試験をしていました。しかし、その場所の開発が始まることになり、出ていかなければならなくなったんです。そこで場所を探していたところ、 KOIL MOBILITY FIELDを見つけました。
建設機械の試験ができる場所はとても限られます。基本的に何もない空き地に近く、土砂を持ち込むことができる場所。2~5台の大型建設機械を持ち込んで連続試験をしたいので、一定の広さや施設も必要です。もちろん遠隔操作のための通信環境も重要です。
KOIL MOBILITY FIELDは車でのアクセスも良く、駅からも近い街なかにあり、コンテナやトレーラーハウスも備え、電気や各種通信インフラも整っています。これは有難いですね。研究開発が楽になりました。
KOIL MOBILITY FIELDでは、お客様をお呼びしての実証なども週1回くらいのペースで行っています。また、展示会やイベントなどの会場、幕張メッセや遠くは北海道や九州から、KOIL MOBILITY FIELDに置いた建設機械を遠隔操作するデモや実験も、これまで何度も行っています。
―街としての柏の葉の感想やご評価も伺いたいのですが、KOIL MOBILITY FIELD以外にはあまり立ち寄ることはないですか?
会員としてKOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)の6階ワークスペースも使うことができるので、駅前にも結構来ていますよ。感想…そうですね、純粋に、好きです(笑)。当社は文京区に本社を置いており、研究拠点としての柏の葉と行き来しているのですが、柏の葉に来るとホッとします。リラックスできるんですよね。平日でもバケーション感があるというか、ゆったりとしています。特にアクアテラスは、昼間とても静かで、夜はつくばエクスプレスが走っていく姿がSF感があったりして、好きですね。都市設計として素晴らしいと思います。
また、色々なインキュベーション施設を見てきましたが、KOILは活気があっていいですね。ビジネスパートナーを見つけることもできました。バブル的に無理やり盛り上げているのではなく、時間をかけて着実に良い感じに盛り上がってきていると感じます。
本当に困っている中小・中堅の建築会社さんのお役に立ちたい。将来は、究極の「極限環境」である宇宙を目指したいと思っています。
―嬉しいご評価、ありがとうございます。では最後に、今後の活動予定や夢などについてお聞かせください。
まず、直近ローンチする新サービスについてお話させてください。先ほども少し触れましたが、この領域の事業を5年くらいやってきて思うのは、大手企業さんの存在感が大きい一方で 、人手不足などで本当に困っているのは中小企業だということです。ただ、遠隔操作・自動操作のソリューションの多くは大規模・高額なものが多く、中小企業さんは手を出しにくい。そこで当社ではこのたび「油圧ショベル自動積込ソリューション『RX』」を開発しました。これは、中小・中堅規模の建設会社さんの「まずは単純動作でも建機指定でも構わないので、一般土木工事で生産性を改善したい」という強いご要望に応えて開発したものです。無駄を削ぎ落とし、建機の種類を限定することで、導入しやすいものにしました。現在すでに受付中で、今年の6月にご提供を開始する予定です。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000058931.html
当社は「革新的なロボット技術を駆使し未踏領域の社会課題を解決する」ことをミッションとし、「世界に貢献するロボティクスのリーディングカンパニーになる」ことをビジョンとして掲げています。その視点で少し大きな話をしますと、災害現場や工事現場などの過酷な環境をロボット工学の世界では「極限環境」といいますが、究極の「極限環境」は、宇宙だと思うんですね。ですので、将来は宇宙を目指したいと思っています。宇宙にはまさに「未踏領域の社会課題」が膨大にあり、これを解決することで世界に貢献できる。ただ、現在のところ、大型の機械を宇宙に持っていくことがそもそも難しく、どこもメドが立っていません。しかし、宇宙土木は今後絶対に必要になります。10年、20年という単位でチャレンジしていきたいと思っています。
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