TOPICS世界中の方々との真の共生・共創を目指して:国際コミュニティ改善プロジェクト
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- 三井不動産株式会社

柏の葉スマートシティには東京大学・千葉大学をはじめとするアカデミアが集まり、2023年にはラグビースクールジャパンも開校しました。様々な国から多くの外国の方が集まる国際都市としての性格が濃くなってきています。
言語も文化も違う外国の方々に、より安心・快適に暮らしていただくためには何が必要なのか。さらに、地域のコミュニティに参画していただき、共創パートナーとなっていくためには何が求められるのか。実際に柏の葉に住み/柏の葉で働く皆さまの声を聞くことから真の国際化に向けたアクションを計画・実行するプロジェクトが始まっています。
三井不動産株式会社 柏の葉街づくり推進部の川東亨和さんと景山亮さん、株式会社Kermode English Educationの二渡一行さんにお話をうかがいました。
真の国際化を目指して、定量的なデータだけではなく、街に住み・働く外国の方々のリアルな声を集めることから始めました。
―まず、今回のプロジェクトの根底にある課題認識について教えてください。
川東さん:昨年4月から柏の葉街づくり推進部に着任して、1年半ほど柏の葉を見てきました。柏の葉は街づくりを始めた当初から「国際キャンパスタウン」にふさわしい街づくりを目指してきたこともあり、ラグビースクールジャパンの誘致も実現し、かけだし横丁で外国の方々が食事を楽しむ姿を頻繁に見かけます。多くの外国の方がいる国際色豊かな街であることは間違いありません。しかし、UDCKや街で行う様々なイベント・お祭りなどに外国の方が参加して、楽しんでいる様子を見ることはあまりなく、地域住民や街との交流といった柏の葉の生活を楽しめておらず、地域での国際交流はまだまだ進んでいないのではないかと感じるようになりました。
柏の葉に住み・働く外国の方々が街に出てこない理由はなにか、実際の声を聞いてみたいと思い、アンケート調査を始めようと考えました。
景山さん:そこで、以前からスポーツや英語教育を通じて外国の方々との繋がりも強く、ラグビースクールジャパン立ち上げ期には地域連携を担当されていた二渡さんに調査・分析をお願いすることにしました。二渡さんは、ご自身も長く海外で外国人として仕事をしてきたご経験があり、また、KOILを拠点に活動されていたこともあって柏の葉の街づくりに対する思いも強く持っていらっしゃいます。これ以上の方はいないだろうと。
調査に当たっては、定量的なデータだけでは街づくりは進められないので、出来るだけ自由記述を多くしてリアルな声を集めていただくようにお願いしました。
利便性や自然環境・景観への評価はとても高い一方で、言語・コミュニケーションの壁の高さに苦労されている姿が浮かび上がってきました。
―二渡さん、この話が来た時の受け止めを教えてください。
二渡さん:これはとてもワクワクする挑戦だなと思いました。柏の葉で、真の国際コミュニティを創る、世界中の人々とパートナーシップを築く。このチャレンジをご一緒させていただけるのがとても嬉しいです。
―具体的な調査内容と、その結果について教えてください。
二渡さん:調査にご協力いただいたのは、柏の葉地域に居住する外国の方々108名の皆さまです。まず属性を伺い、住環境、教育、医療、行政・手続き、災害対応、地域との関わりについて、それぞれ実態やニーズをうかがいました。
まず属性について、年齢層は25‒29歳が最多(35%)、ついで20‒24歳(30%)。男女比はほぼ同数です。出⾝地域はアジア圏が67%と多く、次いでヨーロッパが26%、これは主にラグビースクール関係のイギリス人です。留学⽣が52%で、次いで専⾨職(12%)、教育関係(10%)が続きます。したがって、ある程度の長期滞在を前提としています。
そして、日本語があまり話せない方が過半数でした。この言葉の問題が、個別テーマにおける様々な課題に強く関わっています。
調査項目全体を通して、利便性や自然環境・景観への評価はとても高い一方で、言語・コミュニケーションの壁の高さに苦労されている姿が浮かび上がってきました。生活情報や行政サービスへのアクセスに不便を感じているようです。言語教育の充実を求める声も多かったです。
中でも、医療や災害時対応など、命にかかわる領域での不便や不安感の強さは、対応が強く求められる点です。これはあくまで個別のケースではありますが、「病院で2度も追い返された」「文化の違いで医師に拒絶された」というような回答もありました。これは一方的なコメントですので、病院に聞けばそういうことではなかったのかもしれませんが、コミュニケーションのミスが起こっていることは確かなようです。
また、宗教施設の不足や食の多様性などに不満を感じている声も一定数あり、多目的スペースの整備や多国籍・健康志向の飲食の充実なども求められています。
そして地域活動に関しては、意欲は高く、「文化・芸術活動」、「コミュニティ交流」、「スポーツ・フィットネス」などへの関心が高い一方で、実際の参加経験は46%にとどまり、参加しなかった・出来なかった理由として情報不足が最も多く挙げられました。
未来に渡って継続的に海外の方々から選ばれる街、そんな皆さんと街の人々の交流が続く街、そんな風になれば良いなと思います。
―調査結果の受け止めと、今後のアクションプランについて教えてください。
川東さん:浮き彫りになった課題の中には我々のような民間企業では解決できないことも多くありますが、まずは出来ることから取り組んでいこうと思います。当然ながら言葉の壁があるのですが、彼らにとって必要であり有益な情報にアクセスできない。まず、ここをなんとか解決しなければならないと考えています。
景山さん:調査によると、地域情報の主な入手手段はSNSと口コミということでした。様々なSNSアカウントの整備・多言語化が必要なようです。イベント情報から行政・医療・災害の情報まで、きちんと届けられる仕組み・体制を構築していきたいです。
川東さん:できれば、一方的な情報提供ではなく双方向コミュニケーションを実現できないかと考えています。具体的な施策については今検討中ですが、外国の方々にもヒアリングをしながら、効果的で有益な手段を構築していきたいと思います。
そして将来的には住民の皆さんにも関わっていただいて、自律的でサステナブルなものとして街に根付かせたいですね。
二渡さん:先日、私自身も象徴的な経験をしました。知り合いの女性と駅前でたまたま出会ったときに「子どもが病気になったんだけど、どこで誰に頼ればいいのか分からない」と相談されたんです。実際に直接そう言われることで、より強く課題を感じました。いきなりリアルな箱をつくるのは難しいので、まずはオンラインで、人々が集まって情報を交換できるようなスペースを用意できればと思います。まずは基本的な安心感を与えられるようにしたいです。
景山さん:ゆくゆくは、住民の皆さんと外国の方々が気軽に集まれるバーやカフェのような、HUBとなるリアルな場所があると良いですよね。当社の本業部分でもありますので、将来的に検討していけたら良いなと思っています。
川東さん:そして、外国の方々が柏の葉の生活を気にいってくれて大好きな街になるようにしていければと思っています。一旦帰国されても再来日する時には柏の葉を拠点に選んだりしてくれれば最高ですよね。未来に渡って継続的に海外の方々から選ばれる街、そんな皆さんと街の人々の交流が続く街、そんな風になれば良いなと思います。そんなゴールをイメージして、一歩一歩、進めていきます。
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