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TOPICS【株式会社ギックス インタビュー】 「参加する人が主役になる場を通じて、街や組織への愛着と挑戦心を育てたい」

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「ウォーキングルト」や「スマートライフパス」などの柏の葉の取り組みにおいて、スタンプラリーイベントや写真コンテスト等にプラットフォームを提供し、その企画から運営までを担っているのが、株式会社ギックスです。

同社の事業内容や、これまでの柏の葉での活動、その目的と今後について、Data Informed事業本部 マネージャーの石井 絢様にお話をうかがいました。

判断・意思決定を行うのは人間であり、データはその行為を支援する役割を担うものである、というのが当社の考えです

―まず、御社の事業内容や独自性・強みについて教えてください。

当社は、「あらゆる判断を、Data-Informedに。」をパーパスとして掲げるデータインフォームド推進企業です。戦略コンサルティングと高度なアナリティクスを融合した新しいタイプのプロフェッショナルサービス集団として、クライアント企業の経営課題解決、競争力強化のために判断業務のアップグレードを支援しています。

「データインフォームド(DI)」とは、データ“も”用いて考える思考態度です。データドリブンという言葉が広く知られていますが、この用語には「データによって(自動的に)答えが導かれる」という期待が含まれています。当社は、データ“だけ”で物事を判断するのではなく、人間の思考にデータ“も”加えることによって、その判断がより一層高度なものになることが理想であると考えています。
つまり、あくまでも、判断・意思決定を行うのは人間であり、データはその行為を支援する役割を担うものである、というのが当社の考えです。

ギックスでは、主な事業領域を「顧客理解に基づく判断のDI化」と定め、「顧客理解No.1カンパニーを目指す」をビジョンに掲げています。ここでの「顧客」とは、クライアント様にとっての顧客(エンドユーザー、会員等)を指します。
エンドユーザーの心理・価値観を行動データ分析によって理解し、それに基づいた最適な提案および実行支援を行うことによる、クライアント企業の事業成長支援を行っています。

ギックス公式サイト:https://www.gixo.jp/

―これまで柏の葉スマートシティでは、どのような活動をされてきたのでしょうか。

「ウォーキングルト」のスタンプラリーのアプリ制作など、いくつかのプロジェクトをご一緒しています。中でも大きなものとしては、柏の葉の健康サービスポータル「スマートライフパス」の子育て支援スタンプラリーに、当社のマーケティングツール「Mygru(マイグル)」のスタンプラリー機能を活用し、子育て施設の認知・利用率向上などを目指して活動しています。単にプラットフォームを提供するのではなく、当社自身がサービス提供主体となって運営しているのですが、地域の子育て施設を実際に訪れていただくきっかけづくりや、参加者同士の交流を促す工夫を重ねる中で、日常の小さな行動が参加の輪を広げ、街の元気につながっていくことを実感しています。
2025年4月には、その学びを共有する場として、弊社が主催した「GiXoデータインフォームド・サミット2025」において、「子育て支援スタンプラリーの成果と更なる他自治体への展開」と題したパネルディスカッションを行ない、このサービスの他地域への展開の可能性について議論を深めました。

―他地域への展開という点では、このサービスはすでに神戸に横展開されているそうですね。

はい、そうなんです。神戸市さんは柏の葉とはまた違った課題をお持ちです。「Mygru」の機能と柏の葉での経験を活かし、幼稚園から小学生を対象とした子育て支援スタンプラリーを開発・運営しています。

暮らしの中の良い瞬間を写真で見つけ合い、短い言葉で確かめ合うことで、人と人、人と街の関係をもう一段強くしていくことが出来る

―そうした点を踏まえ、今年の9月に開催したフォトコンテストについて、その内容や狙いを教えてください。

はい。当社が運営する、どなたでも気軽に応募できるフォトコンテストサイト「Camecon(カメコン)」を活用して、「ぼくの/わたしの成長の瞬間」をテーマにフォトコンテストを開催しました。撮影は高級なカメラでなくても、トイカメラ、スマートフォンでもOK。公園などで子供が遊んでいる写真、飲食店やショッピングセンターなどで子供がアクティブに活動している写真、誕生日やイベントなど子供が生活・活動している姿を切り取った写真などを募集し、多くの方にご応募いただきました。

私たちの役割は、住民の皆さまや地域で働く方々、来訪者の方々が日々の中で見つけた小さな喜びや工夫を写真で持ち寄り、互いに知り合い、応援し合える場をつくることです。写真は特別な説明がなくても気持ちが伝わりやすく、誰でも参加しやすい表現です。柏の葉のように多様な方が集う街では、写真が「人と人」「人と街」をなめらかにつなぐきっかけになります。暮らしの中の良い瞬間を写真で見つけ合い、短い言葉で確かめ合うことで、人と人、人と街の関係をもう一段強くしていくことが出来るのではないか、そのような思いで企画し、運営しています。

また、今回の取り組みは「スマートライフパス」とも関わりがあります。集まった写真は、街のウェブサイトやお知らせの画像として活用し、地域の魅力を“地域住民の目線”で発信していく力にします。日常のひとコマが街の顔になることは、参加された方にとって大きな喜びであり、次の参加の動機にもなります。撮って、見て、語り合い、また撮る——このポジティブな循環が、街の活気そのものに繋がると考えています。

一方で、安全に、安心して参加できる場づくりへの配慮にも万全を期しています。写真には人の暮らしが写ります。ですから、権利やプライバシーに十分に配慮し、わかりやすいルールのもとで進めています。だれもが気持ちよく参加できるようにすることは、街の信頼を守ることでもあります。柏の葉には、挑戦と安全を両立させる文化が根づいています。私たちは、その考え方を尊重しながら、無理なく、着実に、良い実践を積み重ねていきたいと思っています。

―どのような写真が集まって来ましたか。まだ、それを見てどのようにお感じでしょうか。

今回のフォトコンテストでは、街ならではの魅力的なシーンがたくさん集まりました。たとえば、親子で公園を楽しむ姿、季節ごとの風景、学びや仕事の現場での前向きな一歩などです。こうした場面は数字では測りにくい魅力ですが、写真と言葉なら、ありのままの形で伝えられます。寄せられた短い言葉が写真の意味を深め、「この一枚は、私たちに何を思い出させてくれるのか」「どんな良さが隠れているのか」という気づきの積み重ねが、街の誇りになっていきます。

この取り組みの中心にあるのはエンゲージメントの向上です。ここでいうエンゲージメントとは、「自分もこの街の一員だ」という実感が高まり、前向きな行動が増えることだと私たちは考えています。写真を通じて、同じ職場や地域の人の頑張り・工夫・優しさが見えると、自然と声をかけ合い、助け合いが生まれます。結果として、新しい挑戦が起きやすくなり、地域や職場の空気が明るくなっていきます。柏の葉スマートシティのように、日々の実験と学びを重視されるエリアでは、こうした“小さな前進の積み重ね”が特に大きな力になります。

日常の中にある“良い瞬間”を写真で見つけ合い、言葉で確かめ合い、次の行動につなげる。そうした積み重ねが、街の価値を静かに、しかし確かに押し上げていきます

―なるほど。「写真コンテスト」というシンプルな枠組みの取り組みに、実は大きな価値があるわけですね。

はい。私たちが大切にしているのは、「いまの姿」と「これからの姿」をどちらも描くことです。たとえば、日常で「ありがとう」が生まれた瞬間、さりげない助け合い、チームで挑戦した出来事など、身近にある良い場面をていねいに拾い上げます。同時に、少し先の理想の風景——この街がもっと良くなったらどんな景色が広がるのか、こんな関係性が築けたら素敵だ、という前向きな想像を写真で切り取ることも歓迎しています。いま起きていることと、これから目指したい姿を並べて見ることで、「私たちの行動がどこにつながっているのか」が自然と見えてきます。

また、企業や自治体の皆さまにとっても、写真を軸にした取り組みは社内外の関係づくりに役立ちます。社内では、部署を越えた対話のきっかけになり、新しく加わった方がなじみやすくなります。社外に向けては、言葉だけでは伝えにくい「人柄」や「地域の空気感」を分かりやすく届けることができます。数値では見えにくい魅力を、実感として届けられる点が特長です。

―では最後に、今後に向けた意気込みやメッセージをお願いします。

エンゲージメント構築に向けた取り組みは、続けるほど力を発揮します。単発で終わらせず、季節や地域の行事に合わせてテーマを工夫しながら、少しずつ広げていくことが大切です。春は新しい出会い、夏は水辺の涼、秋は学びと収穫、冬は灯りのぬくもり——。街のリズムに寄り添いながら企画を重ねると、参加の輪が自然に広がっていきます。また、集まった写真を採用・広報・地域の紹介などに再編集して活用することで、取り組みの効果を長く残すことができます。これからも長く続けていきたいと思っています。

私たちは、参加する人が主役になる場を通じて、街や組織への愛着と挑戦心を育てることを目的としており、柏の葉スマートシティでの実践は、その良い例になると感じています。日常の中にある“良い瞬間”を写真で見つけ合い、言葉で確かめ合い、次の行動につなげる。そうした積み重ねが、街の価値を静かに、しかし確かに押し上げていきます。これからも、柏の葉の皆さまとご一緒に、あたたかく、前向きな循環を育ててまいります。

 

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