TOPICS「再生可能エネルギーをしっかりと社会実装する。国内の再生エネルギーの10%を担うことが目標です」ゼロワットパワー株式会社 代表取締役 佐藤和彦様インタビュー
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- KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)

2014年のKOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)開業直後に、コワーキングスペースの月額会員に。今では年商約1,000億円(2026年2月期見込)の企業となり、4階と6階に大きな専有オフィスを構えるゼロワットパワー株式会社。その事業内容や急成長の理由などについて、代表取締役 佐藤和彦様にお話を伺いました。聞き手は創業期から佐藤社長とお付き合いのある、KOILコミュニティマネージャーの大須賀芳宏です。
私たちが描いているのは、化石燃料に依存しない社会、そして誰もが安心して電気を使い続けられる未来です。再生可能エネルギーを社会に実装していくことを目指しています。
―佐藤社長とゆっくりお話しできるのは本当に久しぶりで嬉しいです。まず、あらためて御社の事業内容について教えてください。
当社は再生可能エネルギーに特化し、小売り事業、発電事業、アグリゲート事業を行う会社です。2015年の設立以来、「再生可能エネルギーの安定供給と普及・拡大」をミッションとしています。KOILパーク(コワーキングスペース)を使って事業のコンセプトを練っていた創業前から、方向性は全く変わっていません。社名がなかなか決まらなかったんですけどね(笑)。
ゼロワットパワーという社名は、「二酸化炭素(CO2)排出ゼロの発電を目指す」という私たちの意志を表現しています。そしてロゴに描かれた太陽は、すべての自然エネルギーの源であり、バイオマス燃料の「細胞分裂」と重ね合わせた象徴でもあります。
私たちが描いているのは、化石燃料に依存しない社会、そして誰もが安心して電気を使い続けられる未来です。電気を創って売る、がゴールなのではなく、再生可能エネルギーを真の意味で社会に実装していくことを目指しています。
現在は全国500か所を超える再エネ発電所と個別に相対契約を締結し、合計発電容量2,000MW超の再生可能エネルギーを直接調達しています。合計230MWの自社発電所も所有しており、官公庁・自治体への供給実績は全国トップレベルとなりました。また、自治体等と協力し、再生可能エネルギーの地産地消の推進と発電所の設立支援も行っています。
―まだ会員さんも少なかった草創期のKOILパークで、佐藤社長とはよくお話をしていた記憶があります。そこから10年余で驚くほどの成長を遂げられました。その要因はどこにあるのでしょうか。
言わば「たまたま」なんですが、世の中の流れにフィットしたというのは大きいと思います。日本では2016年の4月にいわゆる電力の自由化がスタートし、一般家庭や商店など向けの低圧を含むすべての小売りが自由化されました。その頃から、いわゆるGX=社会構造をクリーンエネルギー中心へ移行させ、脱炭素と経済成長の両立を目指す「グリーントランスフォーメーション」の流れが本格化し、様々な規制緩和などが行われました。ただ、当時電力産業を担っていたのは、半官半民の超大手企業。保守的・官僚的で、新しい取り組みにスピード感を持って取り組むのは難しい。そこは当社にとって大きなビジネスチャンスだったと思いますね。
―とは言え、当時、電力自由化を受けて多くの企業が創業しました。そのすべてが御社のスピードで成長出来ているわけではないですよね。ここまで大きく成長されたのは、御社ならではの要因があるのではないでしょうか。
どうなんでしょう…。強いて言えば、当社は最初にご説明した理念やコンセプトをしっかりと練り、折に触れて社内外に発信し続けてきました。創業当時、私たちの会社は誰も知らない小さな会社だから「いいね!」ボタンをたくさん集めよう、ということを創業メンバーで話し合っていたんです。電気という商品はどこで買っても同じですよね。だから、どのように作られた電気を誰から買うか、が重要だろうと。
その点では、当時KOILでプレゼン会のようなイベントがあって、そこで鍛えてもらったというのもありますね。参加された皆さんからも色々アドバイスをいただいて、そこでコンセプトを磨けました。それにより、社内外の多くの方に共感をいただくことが出来た。それは大きかったと思いますね。

苦しい時期に歯を食いしばって供給を続けた結果、「俺が生きている限り、絶対に他の会社からは電気買わないよ」と言ってくださるお客様も。
―創業から現在に至るまで、自然エネルギーに関する世論やニュースは、決してポジティブなものだけではなかったですよね。例えば最近は大規模太陽光発電による自然破壊といった言わば本末転倒な問題も。また、技術的にもまだまだ課題は少なくない。そうした状況において、ブレることはなかったですか。
再生可能エネルギーというのは不安定なものです。スマホを充電する程度の小さな電力であれば問題ないですが、自治体や企業が本格的に導入するのには様々なハードルがある。解決しなければならない課題は確かに色々あります。しかし、日本ではこれと言ったエネルギー源がなく、様々な発電方法をバランス良く使っていくしかない。当社が理念としている省CO2への貢献はもちろん、エネルギー安全保障の観点からも、自然エネルギーの社会実装は絶対に必要なものだという確信がありました。
―なるほど。御社の事業が大きく成長する具体的なきっかけなどはあったのでしょうか。
これは割とはっきりしていて、ウクライナショックですね。2022年当時、ロシアの天然ガスをヨーロッパが買わない、などのことがあって、世界中でエネルギーが足りなくなりました。価格も高騰した。このとき、売れば売るほど赤字になるので、販売側から契約解除する例が多くありました。倒産する事業者も出た。このとき私たちは「大きな理想を掲げている当社は、絶対に供給を止めてはいけない」と踏ん張りました。絶対に供給責任を果たそうと。赤字でも、こちらからは決して契約を切らなかった。むしろ、供給元がなくなってしまった新規のお客様からの引き合いもあって、供給先を増やしていったんです。その結果、その年の最終赤字は100億円くらいになりました。そこを、お取引先や金融機関のご協力をいただいて、なんとか乗り切った。そうしたら、次の年に売上が倍くらいになったんです。
―苦しい時に歯を食いしばった結果、急成長することが出来た。それは言うほど簡単なことじゃないですよね。
はい、そこはブレークスルーでしたね。「俺が生きている限り、絶対に他の会社からは電気買わないよ」と言ってくださるお客様もいらっしゃって。お客様との強いリレーションを築くことが出来ました。

KOILは中にいる「人」が違うというのが、色々なところを見た上での感想です
―ここでちょっと柏の葉やKOILの話をしても良いでしょうか。まず、KOILに来てくださった理由やきっかけについて教えてください、今さらなんですけど(笑)
きっかけはリスティング広告ですね。一回検索したらずーっと出てきて(笑)
―オープン当初の短い期間だけ、広告打ってたんですよね。それはご迷惑をおかけしました(笑)
いえいえ。当時、筑波大と一緒に研究をしていたのですが、もう少し都内に近いところが良いなと。それで色々調べて、「世界の未来像をつくる街」を謳っている柏の葉の取り組みを見て、KOILを見学して、ここで起業したいと思ったんです。
―柏の葉のご評価は
当社は丸の内にもオフィスがあるんですが、本店所在地を柏の葉・KOILから動かすつもりはありません。今でも時々6階のコワーキングスペースに行くことがありますが、この雰囲気が良いんです。刺激になるし、気軽に話せる仲間がいる。
また、土地柄なんですかね…空間の雰囲気が似た感じの施設は今多いんですけど、KOILは中にいる「人」が違うというのが、色々なところを見た上での感想ですね。そして、ピッチ会などのイベントや専門家のサポートがあり、様々な人や組織とつないでくれる。そこは唯一無二だと思います。

―最後に、今後の事業構想や目標についてお聞かせください。
近年は戦争ばかりで、痛ましい状況です。世界中でエネルギーの取り合いになっています。日本のエネルギー安全保障の面からも、再生可能エネルギーをしっかりと社会実装することが当社の目標です。従来再生エネルギーは割高で、安ければ良いというお客様にはなかなか評価されなかったのですが、近年は価格や供給の安定性が評価軸になってきました。市場の雰囲気が変わってきたな、という感覚があります。
―数値的な目標はあるのでしょうか。
日本では現在、発電電力量のうち20%程度が再生可能エネルギーです。政府では、これを2040年度に40~50%にするという目標を掲げています。そのうちの10%を当社が扱いたい。
―おお、大きな目標ですね!
それくらいやらないと世の中に対してインパクトがないと思っています。
あと、ちょっと違う文脈ですが、女性活躍社会にも貢献したいと考えています。結婚・出産でキャリアブレイクしてしまった女性のセカンドキャリア支援に取り組んでいます。実際、当社のオフィスには女性が多いです。
―それもまた、柏の葉と親和性が高い取り組みですね!
柏の葉の街づくりのテーマは、「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」です。「環境共生×新産業創造」企業である御社は、大切なパートナーです。共に歩んでいければ嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします!
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