TOPICS日本発のライフサイエンス・イノベーションを世界へ BioJapan 2026でNCC SAP × J-ACTの取り組みと、研究者4名のグローバル展開への挑戦を紹介
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- 国立研究開発法人 国立がん研究センター
- 三井不動産株式会社

2026年10月8日、BioJapan 2026において、三井不動産のスポンサーセミナー「日本発ライフサイエンス・イノベーションを世界へ ― NCC-SAP × TMC J-ACTが拓く、米国市場への扉 ―」が開催されました。
セミナーでは、国立がん研究センター(NCC)による研究成果の事業化支援や、米国Texas Medical Center(TMC)のイノベーション・エコシステムを紹介するとともに、NCC、三井不動産、TMCの3者が連携して進めるアクセラレータープログラム「J-ACT」に焦点を当てました。J-ACTは、米国市場を見据えたがん治療薬の開発・事業化を目指す日本の研究者や起業家を支援するプログラムです。
また、J-ACT第1期に参加した4名の研究者が登壇し、プログラムを通じて得た学びや、研究成果の事業化に向けた課題、今後の展望について議論しました。
優れた研究成果を世界へつなぐ、NCCの取り組み

国立がん研究センター東病院の杵淵裕美氏は、NCCが持つ臨床研究の強みと、研究成果を新たな治療法の開発につなげる取り組みを紹介しました。
杵淵氏は、臨床試験における迅速な患者登録や、豊富ながん関連の臨床データなど、NCCの研究・臨床基盤の強みを説明しました。また、優れた研究成果を実用化するためには、臨床開発、事業計画、資金調達などを支える専門的な知見やリソースが必要であることを強調しました。
NCC SAPでは、研究や事業の進捗段階に応じた支援を提供し、アカデミアで生まれた研究成果を事業化へとつなぐ取り組みを進めています。
さらに杵淵氏は、研究の早期段階から市場ニーズ、製造、薬事、臨床開発、海外展開などを並行して検討する「グローバルファースト」の重要性についても説明しました。
研究・起業・投資をつなぐ、TMCのイノベーション・エコシステム

続いて、Texas Medical Centerのイノベーション担当副社長、Devin Dunn氏が、米国ヒューストンにおけるTMCのイノベーション・エコシステムを紹介しました。
TMCには、MD Anderson Cancer Centerをはじめとする医療機関、大学、研究機関などが集積しており、研究成果の実用化に向けた連携が進められています。
その象徴的な拠点の一つが「Helix Park」です。研究機関や医療機関が近接して活動し、研究者同士の交流や起業家・投資家との接点を生み出すことで、共同研究や事業化につながる機会を創出しています。
TMCでは、アクセラレータープログラムを通じて、デジタルヘルス、医療機器、治療薬などの分野で400社以上のスタートアップを支援してきました。
こうした事業化支援の仕組みの一つとして、医薬品開発や事業化の経験を持つ起業家が研究者と協力し、会社設立を支援する「Entrepreneurs in Residence(EIR)」も紹介されました。
Dunn氏は、国際連携にも触れ、研究者や起業家が米国の臨床専門家や投資家、産業界とのネットワークを構築することの重要性を強調しました。
J-ACTでは、こうしたTMCのネットワークを活用し、日本の研究者が米国市場で求められる開発戦略や規制対応、製造、資金調達などについて学ぶ機会を提供しています。
J-ACT第1期の4名が語る、グローバル展開への挑戦

続いて行われたFireside Chat(対談セッション)では、TMCのChief Innovation Officer、Dr. Tom Luby氏をモデレーターに、J-ACT第1期に参加した4名の研究者が登壇しました。
NCC SAPに採択された11チームから選抜された4名は、約7カ月にわたるJ-ACTを通じて、メンタリングや専門家による講義、米国のライフサイエンス・エコシステムとの交流などに取り組みました。
河知あすか氏(国立がん研究センター)は、がんmRNAワクチンの研究開発について紹介しました。メンタリングを通じて市場参入に向けた現実的な道筋が見えてきたことを振り返るとともに、資金調達に向けて、研究の有望性や事業化の可能性を投資家に示すために必要なデータを明確にする重要性について語りました。
宮本寛子氏(愛知工業大学)は、J-ACTへの参加を通じて事業化への道筋が明確になり、経験豊富な起業家や専門家との交流から多くの学びを得たことを紹介しました。また、事業化に向けた次のステップとして、研究成果を裏付けるデータの充実や、製造段階への移行に必要な準備についても語りました。
石﨑秀信氏(がん研究会)は、大腸がんの新たな治療法の開発について紹介しました。First-in-Human試験に向けた研究開発の進捗に加え、米国の専門家や投資家との接点を通じて、臨床開発や資金調達に向けた課題をより具体的に捉える機会を得たことを語りました。
本田雄士氏(東京科学大学)は、細胞内の標的へ抗体を届ける技術を紹介しました。自社パイプラインの開発と製薬企業との協業という二つの事業化の方向性を示し、臨床開発や会社設立、資金調達に向けたパートナーとの連携について語りました。

研究成果を事業化へつなぐために必要なもの

4名の発表とディスカッションでは、研究成果を実用化するために必要なデータや、投資家への説明、製造体制、臨床開発、専門人材の確保など、具体的な課題について意見が交わされました。

研究開発の段階や技術の特徴は異なるものの、科学的な成果を事業化につなげるためには、専門家や投資家との連携を通じて課題を明確にし、次のステップを具体化することが重要であるという共通の視点が浮かび上がりました。
また、セッション終盤には、参加者から、J-ACTを通じて互いの挑戦を支え合う文化を感じたとの声もありました。
柏の葉から、日本と世界をつなぐ
J-ACTの出発点は、約2年前に柏の葉を通じて生まれた三井不動産とTMCの交流にあります。柏の葉や国立がん研究センターが目指すライフサイエンス・イノベーションの方向性と、TMCが先行して築いてきたエコシステムとの共通点を見いだしたことから、協力関係が築かれていきました。
その後、NCC、三井不動産、TMCの3者による連携へと発展し、日本の研究者やスタートアップのグローバル展開を支援するJ-ACTが生まれました。
目指しているのは、「日本で育て、米国で実証し、日本に還流する」双方向の成長モデルです。
NCC SAPによる国内での研究・事業化支援を基盤に、J-ACTを通じて米国の専門家や投資家との接点を広げることで、日本の研究成果をグローバルな事業化へとつなぐことを目指しています。
柏の葉ライフサイエンスフロンティア(KLSF)では、今後も国内外の研究機関や企業、支援機関との連携を通じて、日本発のライフサイエンス・イノベーションを世界へ届けるとともに、海外で得た知見やネットワークを日本へ還流させる取り組みを進めていきます。
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