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TOPICS【共創事例:「スマートライフパス柏の葉」を活用した、公民連携による「子どもの一時預かりサービス」実証実験】

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  • まちの健康研究所「あ・し・た」
  • 柏市
  • 一般社団法人UDCKタウンマネジメント

2022年秋、UDCKタウンマネジメントと柏市、株式会社キッズライン、三井不動産が協同して、「子どもの一時預かりサービス実証実験」を実施しました。
その内容や経緯、成果について、柏市こども部こども政策課の橋場浩之様、佐藤貴章様、UDCKタウンマネジメントの佐藤好浩にお話をうかがいます。

子育て中、あるいはこれから子育てをするという皆さまのリアルな声を、今後の子育て支援に活かしていきたい。

―まず、今回の実証実験の目的と内容について教えてください。

UDCKTM佐藤:今回の実証実験では、柏の葉キャンパス駅前で子どもの一時預かりサービスを実施し、その参加者や地域の子育て世帯の皆さまに、子育て支援に関するニーズやご意見をうかがいました。子育て中、あるいはこれから子育てをするという皆さまのリアルな声を、今後の子育て支援に活かしていきたいというのが目的です。

具体的には、一時預かりの場所として、ららぽーと柏の葉北館3階にある『まちの健康研究所「あ・し・た」』のイベントスペースに特設キッズコーナーを設置しました。
そして、1歳から3歳以下の子どもがいる世帯を対象に、「スマートライフパス柏の葉」から参加希望のご応募をいただきました。「スマートライフパス柏の葉」は、UDCKタウンマネジメントが運営している、様々なサービスを利用でき暮らしを健康的でスマートにするポータルサイトです。
一時預かりのベビーシッターのマッチングは、以前からスマートライフパス柏の葉でイベント開催やサービス提供に協力いただいていた株式会社キッズラインさんにお願いしました。
キッズラインさんには、5,000円相当のクーポンを配布していただきました。モニター参加者はクーポン範囲内であれば無料で一時預かりサービスを受けることが出来る、という仕組みです。

そして、2022年の11月8日から30日までの実証期間中、一時預かり実証に応募された方、およびこれから子育てをする世帯から小学生以下の子どもがいる世帯に対し、アンケートや座談会を行い、様々なご意見をいただきました。

UDCKTM佐藤:また、ベビーシッターサービスを身近にすることも、この実証実験の狙いのひとつです。小さいお子さまを預ける親御さんとしては、最初はご心配だと思います。シッターさんとお子さまの相性や、シッティングの質が気になりますが、そのベビーシッターがどんな人なのか、預けて大丈夫なのか、最初はなかなか判別が難しいですよね。
そこで、いきなり自宅でベビーシッターサービスを利用するのではなく、「あ・し・た」のような施設スタッフの目がある場所で試しに2~3時間預けてみる、という機会を創りました。
実施してみると、キッズラインさんに登録されているベビーシッターは非常に質が高く、モチベーションも高い方が多いので、本サービスをご利用されたほぼ全員から、今後も利用したいという声をいただくことが出来ました。

多様な企業・団体と連携・共創する機会が多いというのは、柏市の強みだと思っています。

―柏市さんとしてはどのような経緯で、何に期待して参画されたのでしょうか。

柏市 橋場様:まず、多様な企業・団体と連携・共創する機会が多いというのは、柏市の強みだと思っています。とてもありがたいです。今回、具体的には、子育て施策の課題や住民ニーズなどについてUDCKタウンマネジメントとディスカッションする機会があり、市民の皆さまの生の声が聞きたい、という想いがうまれ、今回の実証実験につながっていきました。
柏市は、「子育てしやすいまち柏」を実現し社会全体で子育て世帯の支援をしていくため、様々な施策を検討しています。ですが、市には実証実験のノウハウは無いんです。そこで今回、この取り組みに後援・協力というかたちで参画させていただきました。実際にご一緒してみると、皆さまのノウハウ、知見、手法には驚くばかりでした。

―UDCKタウンマネジメントとして、柏市の参画で良かったのはどのような点でしょうか。

UDCKTM佐藤:何よりもまず周知の力ですね。柏市全域にこの取り組みを周知できました。特に柏市さんが運営する子育て支援サイト「はぐはぐ柏」を通じて告知していただいたことで、従来よりもかなり大きな反響をいただきました。
また、取り組み実現にあたって子育て支援の観点からさまざまなアドバイスをいただいたのも、ありがたかったです。
今回の実証実験を通じて、子育て世帯へはまだまだいろいろなサービスが必要なこともわかりました。そのニーズの把握についても、集められた市民の皆さまの声をもとに柏市さんとディスカッションをすることによって、理解が深められたと思っています。

実際に質の高いサービスを受けながらの声なので、偏りのない生の声、本音を聞くことが出来たと感じています。

―柏市として、今回の実証実験はどのように役立ったとお考えですか。

柏市 佐藤様:行政のアンケートはどうしても回答者の属性が偏りがちなところがあります。今回、様々な方の声を聞くことができたのがまず良かった点です。また、一時預かりの現場や座談会などのリアルの現場で、書面の調査では得られない生の声をお聞きすることができたのは、市としてはありがたいことでした。
実証実験期間を通じてUDCKタウンマネジメントが頻度高く情報を共有、報告してくれたおかげでしっかりと声を聞きとることが出来たと感じています。ありがとうございます。

―今回はUDCKタウンマネジメントのほかにキッズライン、三井不動産と、複数のプレイヤーとの共創でした。柏市さんの受け止めを教えてください。

柏市 佐藤様:これは柏市に限らずどこでも同じだと思うのですが、自治体には予算や人員に限りがありますので、規模がとてもスモールになりがちです。多くの皆さまとの共創により、これだけの規模での実証が実現できたことが大きかったです。
また、先ほども申し上げましたが、参加者のリアルな生の声を聞けたこと。これも大きな成果でした。関わってくれたすべての関係者に感謝しています。

UDCKTM佐藤:実際のサービスがあると、参加された皆さまの熱量が違いますよね。

柏市 橋場様:単に意見を聞くのではなく、実際に一時預かりというサービスを受けていただくというスキームが良かったですね。お子さまを預かるキッズラインさんのノウハウも素晴らしかったです。実際に質の高いサービスを受けながらの声なので、生の声、本音を聞くことが出来たと感じています。

―一時預かりの場所として、ららぽーと柏の葉北館の『まちの健康研究所「あ・し・た」』を活用しました。この場所についてはいかがでしたか。

柏市 橋場様:実証実験を行うにあたり、最高の場所でした!一時預かりをする場所として駅前や商業施設付近の立地にどれだけのニーズがあるのか、ということを理解することが出来ました。

UDCKTM佐藤:「自宅以外での子どもの一時預かり」に大きなニーズがある、ということが分かりましたよね。参加者のアンケートを見ると、「クーポンがある」というのが一番大きな参加理由なのですが、次に「ららぽーと内の施設で預かってもらえるから」というのが来るんです。実はららぽーと柏の葉内や近隣エリアにも一時預かりサービスは既にあるんですが、枠の取り合いなんだそうです。供給がニーズに追いついていない。だから、そこに今回の実証を重ねても応募が殺到しました。このニーズに気付けたのは「あ・し・た」で実施したからですね。

価値観やライフスタイルはご家庭ごとに様々で、絶対的な正解はない。それぞれのニーズに応える施策をしっかりと届けていきたい。

―今回の実証を通じてわかったことの一端をもう少しお聞かせいただけますか。

柏市 佐藤様:大きく3点あります。
まず、子育て中の皆さまの中に、「子供を預ける」ということに対する罪悪感がある、そういう方が多かったのが印象的でした。行政としてはさまざまなサービスを提供しているつもりなんですが、そもそもそういうサービスを使うことに罪悪感を感じている方が少なからずいる、というのは驚きでした。

実は私自身子育て中なのですが、私は、出先に子どもを預かってくれるサービスがあれば嬉しいし利用すると思うんですよね。でも、そうでない方もいる。価値観やライフスタイルはご家庭ごとに様々で、絶対的な正解はない。それは大きな気付きでした。我々がこう考えているからこれが正しいんだ、ではなくて、ご家庭ごとの感覚やお考えに寄り添っていかなければならない。これは市として認識を新たにしたところです。

2点目は、先ほどから繰り返し申し上げている、生の声、本音を聞くことができた点です。

そして3つめは、告知に関して市のオンライン広報媒体、ウェブサイト、LINE、インスタグラムを活用したのですが、これに大きな反響をいただけたことです。こうしたオンラインツールの活用が有効であることを再認識できました。

UDCKTM佐藤:期間中、「スマートライフパス柏の葉」の登録者数も大きく伸びたんですよ!
先ほども申し上げましたが、今回の柏市さんの告知は反響も大きく、これまで告知した中でも「はぐはぐ柏」に取り上げられた時が最も反響がありました。これには驚きました。市の情報ツールは本当に信頼されているんだなと実感しました。

「子育て関連の複数の機能・サービスが連携したこども広場」というような、ワンストップサービスを考えていきたいと思っています。

―最後に、今回の実証を踏まえ、今後の展開、構想についてお聞かせください。

柏市 橋場様:UDCKタウンマネジメントから詳細な報告書をいただきました。その中に「こども広場をハブとして子育て関連の複数の機能・サービスが連携すると良いのでは」というご意見がありまして、とても感銘を受けました。
柏市では様々な部署・施設で多様な子育てサービスを提供しているんですが、現状では一括で情報が得られたりサービスを受けられるような施設等がありません。子育て関連のサービスをすべて集約した、気軽に利用できる開かれた施設があると良いですよね。例えば子どもの遊び場をつくるのであれば、その遊び場に親御さんのサポート窓口も併設して、お子さんが遊んでいる間に親御さんのご相談を聞いて救いの手を差し伸べる、というようなイメージです。目指す方向性の1つとしてそういうものを考えていきたいと思っています。

UDCKTM佐藤:青写真は出来そうだな、という感じはありますよね。皆さまの生の声をお聞きして、どんな方向性で行こうか、というイメージを持つことが出来ました。この報告書にあるご意見やニーズはある意味ほんとうに「贅沢」なもので、どうやったら実現できるかな、というようなこともあるんですが(笑)、本当に必要とされていることは何かという点については確信を得ることが出来ました。

柏市 橋場様:今回の実証では、参加者の皆さまが「贅沢なわがまま」を伝えることができた、ということに意義があったと感じています。そういう状況を創り出すことが出来たのが大きいと思います。
ここから何ができるか、何からできるか。多くの関係者の皆さまとの共創で、一つひとつ進めていきたいと思います。

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