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TOPICS【株式会社NTTドコモ・NTTコミュニケーションズ株式会社 インタビュー】「協議会や、実証実験に寛容で積極的な住民の皆さんは本当にありがたい存在です。柏の葉から自動運転の未来を創っていきたいと思います

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  • 柏ITS推進協議会
  • 株式会社NTTドコモ

アクアテラスの奥に2つ並んだテストコースのKOIL 16 GATE側にあるのが、NTTドコモによる自動運転の実証実験用コースです。ここではどのような目的でどんな実験が行われているのでしょうか。
株式会社NTTドコモ 6G-IOWN推進部の徳安朋浩様、NTTコミュニケーションズ株式会社 ビジネスソリューション本部の滝将太様にお話をうかがいました。
聞き手は、三井不動産株式会社 柏の葉街づくり推進部の小林悟です。

最近、急速に自動運転開発の機運が盛り上がってきました。これを機に、次世代移動通信規格による自動運転の実現に向け、世界をリードしていきたいと思っています。

ーまず、柏の葉で行っている実証実験の内容について教えてください。

徳安様:このテストコースでは、クルマ同士の直接通信と5Gネットワークを組み合わせたプラットフォームを構築しています。これは専門的には「V2N+V2X連携」という言い方をしますが、この環境により信号情報や複数の車両が取得したセンサ情報を共有し、さらに高品質映像伝送を組み合わせて、安心・安全・快適な自動運転の実現に向けた実証実験を進めています。

これは、多くのパートナーとの共創により行われています。国際的な部品メーカー、自動運転技術の研究・開発に取り組む大学、自動運転社会のインフラ環境整備を開発する企業。そして柏市において未来の道路交通システムの開発を進める「柏ITS推進協議会」にもご協力いただいています。

[ニュースリリース]https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_211115_01.pdf

―現在までの進捗や成果はいかがですか。

徳安様:最近は自動運転が社会的にとても盛り上がっていますが、少し前まではそんな状況ではなくて、どちらかというと静かな感じでした。なので最初は、「環境が整ったテストコースをつくって、自動運転技術の開発への機運を盛り上げていこう!」というような感じだったんです。
ところが1年前くらいに内閣府が自動運転実現へのロードマップを示し、昨年6月にガイドラインや25のユースケースが発表されたことにより、最近は急速に盛り上がってきました。「ヨシっ!」という感じです(笑)。この機に、ユースケースをより良くしていくための貢献が出来ればと思っています。

その1つとしてまず取り組んでいるのは、信号情報の通信です。自動運転の車両を開発している各社さんにお話をうかがうと、車両側のカメラで信号情報を判断するのはかなり難しいそうです。これを信号機と車両との通信によるデータのやりとりで解決したい。
やってみてこれまでに分かったことは、LTEベースの直接通信方式だとうまくいかない、ということです。1対多のブロードキャストを行うLTEベースの直接通信方式では、到達の確認が出来ないのです。こちらから一方的に情報を送るだけで、相手が受け取ったかどうかがわからない。ですので、次の対応が出来ないんです。そこで、5Gベースの直接通信方式が必要だと考えています。これはすでに規格はあるんですが、まだ製品にはなっていません。今後、NTTドコモが世界に先駆けこの開発を進めることで、自動運転の実現に向けリードしていければ、と思っています。

 完全自動運転の実現には通信環境からのアプローチは欠かせないもの。通信の会社として貢献していきたい、という想いがあります。

―自動運転の実現により、NTTドコモさんが目指す未来はどのようなものなのでしょうか。

徳安様:遠い未来の話をすると、完全自動運転が100%行きわたった状態では、社会の色々なものが大きく変わります。交差点から信号機は無くなるでしょう。また、たとえば「ある瞬間において、世の中にあるクルマの9割は走っていない」という話があるそうです。確かにいま、私のクルマは車庫にあります。小林さんのクルマもそうですよね。完全自動運転が実現した世界では、クルマによる移動はサービス化し、車両台数は半分になるのかもしれません。ショッピングモールやマンションの駐車場も要らなくなる。土地の活用方法も変わってきますね。

―そうなると、自動車は移動する多用途な空間になるんですね。

徳安様:そうですね。移動中にリモートワークをするためのクルマ、眠るためのクルマ、などが出てくるんでしょうね。

―そもそも、通信の会社であるNTTドコモさんが自動運転社会を目指しているのはどうしてですか?

滝様:いまお話してきたように自動運転が実現すれば社会的メリットは大きいと思いますが、技術開発の話になると圧倒的にクルマ目線、車両側の技術の話が多いです。しかし、先ほどの信号情報の話の通り、完全自動運転の実現には通信環境からのアプローチは欠かせないものです。通信の会社として、完全自動運転の実現に向け貢献していきたい、という想いがあります。

 徳安様:ビジネス面では、ご存じの通り現在すでにひとり一台以上の携帯電話を所有していて、このマーケットは飽和状態です。一方、クルマは国内だけでも8,300万台あるそうです。自動運転の実現によりこのすべてにSIMカードが乗るようになれば、それは新しい通信市場としてとても大きな、魅力的なものとなります。

都心部に近い駅徒歩圏にこれだけの空間があるのは、ここだけかもしれません。
柏の葉は実証実験を行うのにメリットの多い街だと実感しています。

―柏の葉を実証実験の場として選んでいただいた経緯と理由について教えてください。

滝様:わたしは元々「国プロ」=政府・行政主導の国家プロジェクトの担当者だったので、さまざまな実証実験に携わり、その場所探しもしてきました。その経験で言うと、大きな面積を必要とする実験場だと、どうしてもかなり都心や都市から離れた地方になってしまいます。逆に言うと、地方にはたくさんあるんですが。しかし、多くの方に実験に参加していただくためにはアクセスはとても重要です。また、電波がきちんと飛ぶかどうかというテストの場合、都市環境であることも必要になります。何もないところで飛んでも、都市で使えないのでは意味がありませんので。
そういうわけで、都心部に近い、街に近い場所を探してきたのですが、まあ、無いんです。栃木、茨城あたりには自動車メーカーのテストコースがあるんですが、やはり遠いですし、しかも、それでも取り合いになっているんです。

そんな中、ご縁があって柏の葉を知ることになりました。ここなら都心にも近く、交通の便も良いですし、しかも駅徒歩圏です。駅から歩いて行ける場所というのは、おそらくここだけではないでしょうか。もちろんオフィスや住宅、商業施設も近くにあり、街の中という環境です。

また、「街」という点で言うと、こうした実証実験には、街の皆さまのご理解がとても重要です。まして自動運転ということですと安全性の問題もありますし、クレームになりやすい面もあります。柏の葉はスマートシティとして様々な実証実験が行われていて、住民の皆さまが寛容で、むしろ積極的に参加していただける方が多い。これも大きなポイントでした。

―実際に実験を進めている中で、皆さんのご感想はいかがですか。

滝様:とても使いやすい、アクセスが良くて助かる、というお声が多いです。

徳安様:また、柏ITS推進協議会の存在もとても大きいです。公道を走る実験の場合、その許認可を得るのはとても大変なんです。関わってくる役所・部署も多岐にわたります。
柏の葉には協議会があるので、ワンストップで話が一気に進む。これは本当に助かります。

―柏の葉には「柏の葉キャンパス駅前まちづくり協議会」もあり、住民さんに実証実験の周知や参加を促すのもワンストップで行うことが出来るんです。

滝様:それはすごいですね。将来、住民さんに参加していただきたいような実験をする場合にも心強いです。柏の葉は実証実験を行うのにメリットの多い街だと実感しています。多くの皆さまと一緒に、柏の葉から自動運転の未来を創っていきたいと思います。

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