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TOPICS【施設紹介:KOIL FACTORY PRO】「柏の葉にはすでに開発をするための豊かな土壌があり、様々な『畑』があります。ここは家庭菜園みたいな規模ですが、豊かな畑の1つになれたら嬉しいです。」

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  • KOIL  FACTORY  PRO
  • KOIL MOBILITY FIELD
  • 株式会社ハフト

国道16号線から柏の葉の駅前に入っていく「入口」にあるのが、モノづくりコワーキングスペース「KOIL FACTORY PRO」です。たくさんの機材や制作中のロボットのようなものでいっぱいの、大人のヒミツ基地のようなこの場所は、どのような施設なのでしょうか。
施設の企画・運営を担当する株式会社ハフトの今村博宣さんにお話をうかがいました。聞き手は、KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)のコミュニティマネージャー、大須賀芳宏です。

組み込みエンジニアとしての私自身の「こういう場所が欲しい」という切実なニーズを元に、モノづくりコワーキングスペースを再定義しました。

―モノづくりコワーキングスペースというと、7~8年くらい前に大規模な施設がいくつか出来て、非常に話題になったという印象があります。こちらはそうした施設と比べるとずいぶん雰囲気が違いますね。出来たのもごく最近ですが、先行施設とはどのような違いがあるのでしょうか。

一番大きな違いは、ここにはモノづくりのための機械・機材は一切用意されていない、という点です。モノづくりコワーキングスペースというと最先端の機材がたくさん用意してあるという印象があるので、こう言うと皆さん驚かれるんですが、でも考えてみれば、普通のコワーキングスペースにパソコンは用意されていないですよね。

私は30年以上、様々なモノづくりを事業として行ってきましたが、普通人から機材を借りて開発はしないですよね?(笑)。皆さんも、人のパソコンで仕事をするということはないですよね。自分のパソコンを自分用にカスタマイズしています。モノづくり機材もそれと同じで、必要な機材、使いやすい機械はそれぞれです。ですので、施設側が高額な機材をたくさん用意しても使う人は限られるわけです。なのに、それらの機材のコストは大きく見れば利用料に加算されているわけですし、初期投資やメンテンナンス、陳腐化を避けるための定期的な入れ替えなど、運営側にも大きな負担となります。そこでわたしは、発想を大きく変える必要があると思ったんです。プロ向けのモノづくりコワーキングスペースを再定義しよう、と。

KOIL FACTORY PROでは、工具・工作機械・測定器などの機材は、会員が持ち込むことが大前提になっています。それぞれが自分に必要な機材を持ち込むわけですから、「使いたい機材がない」、「機材が古い」、「メンテナンスされていない」といったミスマッチは起こりません。それでいて、機材の種類や数は、見ていただければお分かりの通り、会員さんがそれぞれ持ち込んだものがすでに揃っています。
また、施設側の各種コストも抑えられるため、料金もリーズナブルです。利用形態も含め、圧倒的に自由度が高いのを特長としています。組み込みエンジニアとしての私自身の「こういう場所が欲しい」という切実なニーズを元に作った場ですので、モノづくりに取り組んでいる多くの皆さんに共感いただけるのではないかと考えています。

 

 主体性を持った「カタリスト」が相互に場に貢献しながら共創する。そういう場をつくっていきたいと考えています。

―シェアすることを前提にそれぞれが機材を持ち込むということは、「ちょっとそれ貸して」とか「それ新しいやつ?」とか、利用者どうしの会話や交流も自然に生まれますね。

そうなんです!それも大きなポイントです。私はこの場所を「カタリストたちの空間」と位置付けています。カタリストとは、「触媒」「相手に刺激を与える人や物」「触発する人や物」「変化を起こす人や物」という意味です。そういう主体性を持ったメンバーが、相互に場に貢献しながら共創する。そういう場をつくっていきたいと考えています。

ですので、出来るだけ細かなルールなどは設けないようにしているのですが、唯一「ここで言ってはいけない3つの言葉」というのがありまして、それは「うるさい」「臭い」「汚い」です。ここで開発している人たちは、なかなか世の中に作業できる場所が無いなかでやっとこの場を見つけた人たちです。「機械の音がうるさい」とか「塗料が臭い」とか言われ続けてきたんですよね(笑)。なので、KOIL FACTORY PROでは、そこは「お互い様」にしましょうね、と。

―お互いに小さな果実が得られる動機の設定や「お互い様」の感覚の共有は、心理的安全性を築いて共創に至るプロセスにおいて、とても重要な要素だと思います。ここでは、その仕掛けが「モノづくりコワーキングスペースにおける機械・機材の在り方」という、この場にとって必然性がある要素によってごく自然に設計されているんですね。

ポートランドをモデルに進めている、柏の葉の街づくり。
KOIL FACTORY PROがその「畑」のひとつになれたら最高です。

―いまはどのような方がここを利用しているのでしょうか。

いま主に利用されているのは、移動ロボットを開発している人たちです。基本的にKOIL MOBILITY FIELDとセットで活用していただいている方が多いです。ここで作って、あるいは改造して、KOIL MOBILITY FIELDに持っていてテスト走行してデバッグする、というかたちですね。中でも、KOIL FACTORY PROとKOIL MOBILITY FIELDは充実した通信環境を持っていますので、それを活かして、たとえばBeyond 5Gを前提とした移動ロボットを開発している方たちなどに積極的にご利用いただいています。

でも、もちろんそれに限らず、モノづくりをしていて「うるさい」「汚い」「臭い」に悩んでいる様々な方に、幅広くご利用いただければ嬉しいです。

そういう意味では、実はここ、夜にはより幅広い方々が集まってきているんです。今のところ夜間にはメインの利用者さんはあまりいないこともあって、色々な人に「遊びに来てー、お酒もあるよ(笑)」って声をかけてきたんですが、それで本当に柏の葉で面白いことをしている様々な人たちが集まってきてくれるようになって、かなり盛り上がっています。柏の葉をもっとこうしたい、とか、自分はこんなことをしていきたい、とか、何時間でも話していられる人たちで、それだけでも刺激や学びになって最高なんですが、最近はそういったお話が話だけで終わらずに、いくつかの具体的な実を結びそうにもなってきています。これは発表できる段階になったらぜひここでもお伝えいただければと思います。

 ―昼はモノづくり、夜はコトづくりの拠点、という感じですね。むちゃくちゃワクワクします。では最後に、ここを今後どのような場にしていきたいか、目標や夢をお聞かせください。

柏の葉、とくにここKOIL 16 GATEは、アメリカのポートランドをモデルに街づくりを進めています。柏の葉がポートランドのように、カフェやDIYなどを通じてクリエイティブな人やアーティストが集まりいつも新しい「問い」と「答え」が生まれてくる街になっていけば最高ですし、そうしていきたいと思っています。

私は良く、「育つ力、育てる力、育む力」ということを言うんですが、大切なのは「土壌」です。柏の葉にはすでに開発をするための豊かな土壌があり、様々な「畑」がありますが、KOIL FACTORY PROも、その畑の1つになれたらいいですね。大規模な施設と比べたら家庭菜園みたいなものですが(笑)、でもだからこそ、ここはどんな方でも気軽に来られて、参加出来ます。最初に申し上げた通り、ここは利用者の皆さんが主体的に作っていく、作っていける場です。様々な方に、私の想像を超える使い方を見つけていただければ最高ですね。

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