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TOPICS【共創事例:民学共創による農業教育プロジェクト~千葉大学野田先生インタビュー】「食料自給率を上げるためには担い手の育成が重要です。子どもへの教育を通じて将来の担い手を育成していきたいと考えています」

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  • 千葉大学環境健康 フィールド科学センター

いま、千葉大学柏の葉キャンパスの温室でイチゴ食べ放題のイベントが行われていて、小さなお子様を連れたご家族で大盛況です。でもなぜ、大学がこのようなイベントを行っているのでしょうか。
千葉大学環境健康フィールド科学センターの野田勝二先生にお話をうかがいました。

前半はイチゴについて楽しく学び、そのあと温室で自分で収穫したイチゴを食べ放題。おかげさまで大好評です。

―先日、キャンパスの中を楽しそうに歩くファミリーの皆さんを見て、これは何が行われているのだろう?と不思議でした(笑)。まずはイベントの概要について教えてください。

2月から4月末までの予定で、株式会社Loco Doorさんの主催、千葉大学環境健康フィールドセンターの共催により、毎週土曜日と水曜日、家族収穫体験フェアを開催しています。対象は4歳から小3のお子さまと、そのご家族です。

まず前半30分が、楽しいムービーやクイズ形式によるレクチャー。ここでいちごの特徴や豆知識などを学んでいただきます。そのあとに温室に行って、6種類のいちごを収穫し、その場で食べ放題。糖度計を使って糖度を調べたり、品種ごとに食べたらスタンプを押すスタンプラリーもあわせて行っています。

おかげさまで大好評で、すぐに予約が埋まってしまうような状況です。また来たいというお客様も多くいらっしゃるんですよ。

 ―自分の街の大学のキャンパス内で、学んで遊べるのは最高ですね。でもなぜ千葉大学がこのようなことをしているのですか。

千葉大学では「農福連携」=農業と福祉の連携を活動テーマの一つとしています。その一環として、子どもたちに対する農業教育を重要な活動だと捉えているんです。

ご存じのように、日本は食料自給率がとても低く、多くの食物を外国からの輸入に頼っている状況です。また、就農人口も減り続けています。少しでも自給率を上げるためには、先進的な取り組みや農業ビジネスの研究によって「儲かる農業」を実現するとともに、教育によって農業を理解してもらったり、担い手を育成したりしていく必要があります。千葉大学は植物工場などの先進的な取り組みを行うとともに、教育機関として子どもたちへの教育を通じて農業への理解者を増やして,将来の担い手を育成していきたいと考えています。

 地域の皆さんはもちろん、都内や他県からの参加も。民間企業との共創だからこそ実現出来たことだと思います。

―なるほど。今回は民間企業である株式会社Loco Doorさんとの共創ですね。その経緯などについて教えてください。

(株)Loco Doorさんは、地方創生×SDGsにより、魅力ある街づくりを通して持続可能な社会を構築することを目的とした企業です。一次産業・伝統産業をデジタル化して教育・福祉等のサービスと結び付け活性化を図る、という活動をされています。
「一次産業である農業と教育の連携」というアプローチにおいて千葉大学の活動と文脈が一致するということで、今回(株)Loco Doorさんからご提案をいただき、協同することになりました。千葉大学が栽培技術を提供し、(株)Loco Doorさんが運営やマーケティングを担当されています。

―大変盛況なようですね。手ごたえなどについてどうお感じですか。

おかげさまで大好評です。地域の皆さまはもちろん、都内や埼玉県などから、保育園がバスを使って遠足で来てくれたりしているんです。こうしたプログラムに大きな需要があるということが分かったのは大きな成果ですね。(株)Loco Doorさんも他の地域や作物での並行展開に手ごたえを感じているとのことです。

先ほどもお話したとおり、人材育成はとても大切です。子供のうちに食べ物を生産する農業に触れてもらうことはとても意義のあることだと思いますが、大学が関わってここまでシステマティックにプログラムを走らせる事例は、今まで無かったように思います。大学のキャンパスの中で、レジャーとして親子で楽しく学べる。日常の生活の中でこうした体験が出来るのは大きなことだと思います。(株)Loco Doorさんとの共創だからこそ出来たことで、とても嬉しく思っています。

 これを軌道に乗せ、今後は領域を拡大しながら、永続的に動かしていける仕組みを創っていきたいと思います。

―これからの展開について思いをお聞かせください。

今年はあくまでパイロット的な運営なのですが、これを軌道に乗せ、今後は永続的に動かしていける仕組みを創っていきたいと思います。そこに、学生が関わっていく仕組みづくりも考えていきたいですね。

また、活動エリアや対象などの領域を拡大していくことも目標です。

他の大学への平行展開、そして他の地域への並行展開。大学でなくても良いと思っています。地域ごとの担い手さんと協同して、大学と(株)Loco Doorで教材や栽培技術をアドバイスする。そんな形で広げていければ嬉しいです。

また、作物の種類も増やしていきたいですね。このプロジェクトではイチゴのほか来年はシャインマスカットも予定していますが、さらに様々なものを活用していければ。私の専門である果樹なんかも楽しそうです。バナナとか、いま色々な案が出ているので、少しずつ実現できれば嬉しいです。あと、例えばシャインマスカットの房は子どもが扱うには大きすぎるんですよね。子どもでも扱える小さな房の試作もできていますので、次年度を楽しみにしていてください。

そして「農福連携」の福祉という文脈では、お子さまだけではなく、高齢者や障がい者なども関わっていける、参加いただける仕組みも創っていきたいと思っています。

今回、お子さんたちの様子を見ていると、イチゴに種類、品種があることを知らなかったとか、蜂が受粉しているということを知らなかった子などがいて、それを学ぶことがとても楽しそうなんです。農業や食物についての教育は本当に大切だと実感しています。この活動を継続し、拡大していくことを目指して、引き続き取り組んでいきます!

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