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TOPICS【街全体が、モビリティの開発フィールド。柏の葉スマートシティにおけるモビリティ分野の取り組み】

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  • KOIL MOBILITY FIELD
  • 柏ITS推進協議会
  • 先進モビリティ株式会社

「世界の未来像をつくる街」をテーマに先進的な取り組みを続けている柏の葉スマートシティ。中でもモビリティ分野は注力領域のひとつとして積極的に取り組んでいます。
なぜモビリティなのか、そしてどのような活動をしているのか。その全体像・概要について、三井不動産株式会社柏の葉街づくり推進部の佐々木悠祐さんに話を訊きました。

自動運転の実現により、柏の葉の利便性を向上させる。そしてそれをモデル化し、世界の課題解決につなげていきたいと思っています。

―まず、柏の葉でなぜモビリティに力を入れているのか教えてください。

佐々木:大きく2つの理由があります。
まずひとつは、開発中の都市として、スムーズな人・モノの移動を実現し、街のニーズに応える交通インフラを整える必要があること。つまり街の利便性向上という側面です。
そしてもうひとつは、今後モビリティの在り方がエネルギー問題の課題解決にも大きく関係する可能性があり、柏の葉でいち早く課題解決モデルをつくりたいと思っています。世界の未来像をつくるスマートシティとしての側面ですね。

まず地域ニーズのお話をしますと、柏の葉は現在人口が11,000人ほどですが、将来的には26,000人になることを目指しています。つまり、現在はまだ道半ば、という状況です。今後、商業施設やオフィス、住宅の建設などが予想され、人口が倍以上になる。そうすると、将来的には地域における移動が大きな課題に直面する可能性が高いと思っています。現在すでにマンションでは一部駐車場が足りないなどの課題が出てきており、今後も人口が増えていくことによってモビリティの問題は大きくなっていくでしょう。そうした課題を解決するために、今から対応していくことが必要だと考えています。

―いま取り組み中のもので、わかりやすい具体例があったら教えてください。

佐々木:たとえばバスなどの公共交通による利便性を向上していきたいと考えていますが、実はバス業界にも大きな課題が眠っています。それは、ドライバーの高齢化です。ご存じの通り日本では急速に高齢化が進んでいますので、今後採用者よりも退職者の方が増える可能性が高いです。そうなると利便性の向上どころか路線の維持も難しくなり、公共交通としての利便性が担保できない可能性があります。

そこで柏の葉では2020年から、「先進モビリティ株式会社」や複数の大学等と一緒に自動運転バスの実証を実施しています。現在、恒常的に自動運転モビリティが運行しているのは全国でも柏の葉だけです。今は学生向けのシャトルバスとして東京大学と柏の葉キャンパス駅の間を運行していますが、将来は柏の葉エリア全体で運行されるバスに成長してほしいと考えています。

―それはワクワクしますね。自動運転バスの社会実装において、いまどのような課題があるのでしょうか。

佐々木:事業として実装するには採算性の課題がありますが、まずはその前に、技術的に自動運転が可能な状態に持っていかなければいけません。
現在、この自動運転バスはレベル4(高度運転自動化)を想定したレベル2(部分運転自動化)で運行していますが、将来的には単独レベル4を目指します。
その中で、信号情報との連携や道路状況の視認において、たとえば逆光などでカメラが読み取れないといった状況に対する対応が技術的課題になっています。このような、100%の精度を担保しなければいけない領域については、東京大学と連携してインフラ企画についても柏の葉で検討をしてもらっています。

このように、地域交通としてのバスの自動運転実現に向けた課題を洗い出し、ベストな解法を見つけ、柏の葉において実装を実現する。そのことによってまずは街の利便性向上を実現したいと考えています。
そしてそれをモデル化することで、バス業界全体、さらには世界中に広がって、都市における移動の利便性が担保され、さらに向上していく。そんな未来が柏の葉から生まれていくことを目指しています。

 柏の葉には、都心から電車で30分という立地の駅徒歩圏内に、モビリティ開発のテストコースがあります。

―そもそも、柏の葉はこうしたモビリティの開発に適した場所なのでしょうか。

佐々木:はい。柏の葉には自動運転モビリティの実験がしやすい環境が整っていると考えています。まず、ハードとして「KOIL MOBILITY FIELD」というテストコースがあるのが強みです。秋葉原から電車でおよそ30分という、都心から近く利便性の高い立地にモビリティのテストコースがあるというのは、日本でもおそらく柏の葉だけだと思います。一般的にテストコースとなると、行政や大企業が保有するものがほとんどで、それらは地方や、関東圏でも都心から2~3時間かかるような場所に設けられているのです。その点、柏の葉はスタートアップも含めて使っていただきやすい環境を目指しており、大規模ではないものの駅から歩ける場所にテストコースを設けています。技術開発をする企業にとって、開発と同時に顧客や事業パートナーを探すことは必須ですが、なかなかその両方に便利な環境はありません。柏の葉には、それを両立させた開発環境があります。

―なるほど。テストコースの詳細についてもう少し教えてください。

佐々木:全長250メートルのコースを、9時~18時で利用可能です。
自動運転や遠隔操作、マイクロモビリティなどの開発に取り組む企業様に多くご利用をいただいており、すでに数多くの成果を生み、各社から発表されています。また、ご利用に関する新規のお問い合わせもたくさんいただいています。

社会実装という高いハードルを越えるため、公民学連携組織『柏ITS推進協議会』が強力にサポート。多くの皆さんと未来のモビリティを創っていきたいと思っています。

―ハードとしてのテストコース以外に、モビリティ開発のための仕組みはあるのでしょうか。

佐々木:柏の葉スマートシティの最大の特長は、「公民学の連携」です。自動運転についても、自動運転の実現に向け公民学が連携した組織『柏ITS推進協議会』があります。

今後、モビリティフィールドで実験が完了した後は公道で本格的な技術検証を行い、製品化を目指していくことになります。その段階においては企業側の技術や事業性だけではなく、たとえば公道走行の許可など、社会との調整が課題になってきます。モビリティに限らずスタートアップの新しい技術やサービスを社会実装するにあたっては、インフラやルールなど社会との調整はとても重要で、ここがうまくいかなければどんなに優れた技術でも世に出すことは出来ません。
通常、公道走行に当たっては、有識者とパイプを持ち、その上で行政や警察とも関係性を持ちながら個別にひとつずつ話を詰めていくことが必要になりますが、柏の葉では『柏ITS推進協議会』のネットワークを使い、安全性についても客観的にアドバイスを貰いながら、有識者・行政・警察などとスムーズに連携することが可能です。

―それはすごい。社会実装にあたって時間と手間をかけて各関係機関と個別に関係性を築く必要が無く、より本業に集中できるということですね。

佐々木:その通りです。柏の葉における「公民学の連携」「共創」は単なる理念ではなく、このように具体的な仕組みとして整えています。

柏の葉にはハードからソフトまで、モビリティ開発のために必要な環境・サポートが整っています。多くの開発者の皆さんとご一緒に、世界を変える未来のモビリティを創っていきたいと思っています!

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