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TOPICS【株式会社SOELインタビュー】「有機デバイス技術による新しい太陽光パネルの開発により、無理のないサステナブル生活を実現したい。」

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  • KOIL TERRACE
  • KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)

先日、KOILテラスにて、会議室内に太陽光パネルを設置した実証実験が行われました。三井不動産の協力の下この実験を進めていたのが、東京大学発のスタートアップ、株式会社SOELです。どのような事業を構想し、どんな内容の実験が行われたのでしょうか。代表取締役社長の高宮寿美さんにお話を伺いました。聞き手は三井不動産柏の葉街づくり推進部の金田昂です。

薄くて丸められる太陽電池、「ローラブルシリコン太陽電池」を開発しています。これにより、今まで活用できなかった領域での太陽光発電が可能になると考えています。

ーまず、御社の事業内容について教えてください。

私たちは、新型の太陽電池の開発・製造・販売を目指しています。社名のSOELとは、Sustainable=無理のないサステナブル生活を、Organic=有機デバイスの技術で、Energy=エネルギーを創出し実現する、Laboratory=開発企業、の頭文字を並べたものです。ラテン語系で「太陽」を意味する言葉にも語感が近いので、社名としました。

太陽電池じたいはご存じのように新しい技術ではありませんが、当社はシリコン太陽電池の新規製法を開発・採用することで、高効率・高耐久性と、フレキシブルを超えた
「ローラブル性」の両立を実現しました。つまり薄くて丸められる太陽電池、ということです。これを「ローラブルシリコン太陽電池」と呼んでいます。
薄くて丸められるということは、壁面や窓、街灯のポール、航空機の翼まで、重量物や厚みのあるものは置けない場所や曲面にも取り付けることが出来ますし、付け外しも簡単です。このことにより、今までは太陽光発電が活用できなかった領域で、様々な活用が可能になると考えています。

ー御社は東京大学発のスタートアップですよね。

はい。柏の葉キャンパスにある大学院新領域創生科学研究科の、竹谷純一先生の研究室で基礎研究から試作品の製作までをおこない、それを基に今年2023年の4月に創業しました。大学に近いのと、三井不動産とは様々な形で共同研究やマーケティング活動などにご協力いただいてきた関係性があるので、駅前のKOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)で登記をいたしました。

実証実験により、室内における太陽光パネルの発電効率を把握することが出来ました。これを元に、1年半から2年ほどで事業化を実現したいと思います。

ー今回の実験の内容について教えてください。

先ほども申し上げましたが、薄くて丸められる太陽光パネルには様々な使い道が考えられ、多くの企業さんからお問い合わせをいただいています。その中で、ある住宅設備メーカーさんから「たとえば室内のロールカーテンに太陽光パネルを取り付けるなどのアイデアは昔からあるが、それを実現できる商品が無い。開発できますか」というお話をいただき、同じようなニーズはホテルやオフィスにもあると思い、可能性を感じて試作してみることにしました。プロトタイプをつくって動作を確認した後、室内に置いて天気が悪いときでもどの程度の発電が可能なのか、三井不動産の協力をいただいてKOILテラスの会議室で3週間の実験を行いました。

―実験の手ごたえはいかがでしたか。どのようなことが分かったのでしょうか。

一般に太陽光パネルは屋外に設置するものですが、今回、屋内ではどの程度の発電効率になるのかを具体的に把握することが出来ました。これは予想より厳しい結果でしたね。屋外の1/2~1/3程度でした。ですがいずれにせよこうした数字が分かれば、たとえばロールカーテンを開閉するエネルギーを太陽光パネルから得るためにはどのくらいのものが必要か、明確になります。パネルの改善点もはっきりしたので、良かったです。

―今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか。

建設会社や物流企業など、様々な業界の企業さんから多くの引き合いをいただいていますので、まずはB to Bのビジネスを確立したいと思っています。企業さんと協同で有償での実証実験を重ねつつ、同時に商品化・量産化に向けた開発を進め、1年半から2年ほどで事業化することを目指しています。
また、最近は電気代の高騰もあり、一般の方の自然エネルギーへの関心やニーズも高まっていますので、将来的にはto Cのビジネスも視野に入れていこうかな、と考え始めたところです。生活者が「ポチっと」買える商品を創れたら楽しそうだなと。ただ、to Cのビジネスには、商品づくりから流通、カスタマーサポートなど、to Bとはまったく違うことが多く必要になりますので、事業性も含め、これから慎重に検討をしていきたいと思っています。

太陽光パネルは、原理は簡単でも安定的に安全に動くプロダクトを創るのは簡単ではありません。やっと足元が固まってきたので、これからは積極的に外に出ていきたいと思っています。

―これからの商品化が楽しみです!
話は変わりますが、高宮さんは大学での基礎研究からずっと柏の葉にいらっしゃいます。柏の葉の印象はどのようなものですか。

わたしが柏の葉に来るようになったのは2021年の12月くらいなので、実はコロナ禍の真っ最中だったんです。ですので、本当の柏の葉の姿はまだ見ることが出来ていないのではないかとも思っているんですが(苦笑)、でも、まず本当にきれいな街だな、と思いました。最初少しびっくりしたのを覚えています。都心から30分ほどなのに、緑が多く、豊かな自然環境があるのが好きです。駅前のタワーマンションと自然のコントラストが面白いですよね。
アクアテラスとT-SITEの風景も大好きなんですが、実は東大から遠いので、なかなか来ることが出来なくて、最近やっと初めてうかがったんです(笑)、でも、来てみるとやっぱり心地よい場所で、とても気に入りました。

―柏の葉ではビジネス共創環境の構築にも力を入れていますが、そちらはいかがですか。

そうなんですよね、お話は伺っているのですが、今までは基礎研究からプロダクトを創る段階だったので、まだあまりアクセス出来ていません。その中で先日、KOIL FACTORY PROに伺って、運営の今村さんとお話しました。モノづくりに取り組んでいる色々な方がいらっしゃって、とても面白いですね。

―そうなんです! KOILにも、御社と同じように事業開発を進めるスタートアップや、マーケティング関係など共創パートナーになり得る会員さんが多くいらっしゃいます。また、資金調達や事業化に向けた専門家サポートなどもぜひ活用いただければと思います。

そうですね!
東大で太陽光パネルを創るのは簡単なことだろう、と思われがちなんですが、原理は簡単でも安定的に安全に動くものを創るのは本当に難しいことなんです。社内体制を整えたりして、やっとうまくいくようになりました。もう少し足元が固まったら、広報なども含め、積極的に外に出ていこうと思っています。KOILをはじめとする柏の葉の方々ともコミュニケーションしていけたら嬉しいです。

 

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