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TOPICS【共創事例:三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド×キヤスク】 「病気になってしまって好きな服を着るのは諦めている方々に、着たい服を着て、少しでも前向きな気持ちになっていただきたいです。」

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  • 三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド
  • 株式会社コワードローブ

がん患者さんをサポートするホテル『三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド』では、このたび『キヤスク』と連携し、『服のお直し相談会』を始めることになりました。この取り組みの意義やこれを提供する思いについて、『キヤスク』をサービス展開する株式会社コワードローブ代表取締役CEOの前田哲平さんと、三井不動産柏の葉街づくり推進部の橘ひかりさんにお話を伺いました。

病気や障がいを持つ方でも、着たい服を着ることが出来る。『キヤスク』は、それを実現する洋服お直しサービスです。

―まず『キヤスク』のサービス内容について教えてください。

前田様:これは2022年3月にローンチした、障がいや病気・怪我を持つ方に向けた洋服のお直しサービスです。身体の自由が利かなかったり、医療機器を付けている方々は、思い出のある大切な服や大好きな服を着られず、着たくない服を我慢して着ています。でも、皆さんにも実感があると思うんですが、着たい服、お気に入りの服を着るだけでちょっと楽しい気分になって、出かけたくなったり、人に会いたくなったりしますよね。どうしても気持ちが落ち込んでしまいがちな病気・怪我・障がいを持つ方にとって、着たい服を着られるというのはとても大切なことなんです。そこで、私たちはご自分の状態に合わせてオンラインで気軽に洋服のお直しをオーダー出来る『キヤスク』を始めました。
『キヤスク』では、たとえば、Tシャツやトレーナーなどを前開きや肩開き、脇開きにする、ボタンをマジックテープにする、スカートやパンツを横開きや股開きにする、褥瘡対策をする、といったことが可能です。それによって、腕が曲がらなくなってしまったとか、指先が上手く動かないといった方々に、いままでのお気に入りの服をほとんど見た目を変えずに着続けていただくことが出来るんです。

また、もう1つの特長は、オーダーの際、キャスト(お直しスタッフ)と相談しながら進められるという点です。技術と心の両面でお客様に寄り添うことのできる豊富な経験を持ったキャストが、お客様の声や技術を社内で共有しながら対応します。そもそもお客様は、どこをどう直せば着られるようになるのか分からないですよね。「ここは残してほしい」というようなご要望も、具体的に明確にイメージ出来ているわけではありません。ですので『キヤスク』では、キャストがお客様の状態を把握し、ご要望を引き出し、どのようにお直しするのが良いかを話し合いながらご提案していきます。

[キヤスク WEBサイト]
https://kiyasuku.com/

―素晴らしいサービスですね!どのような経緯、きっかけでこのようなサービスを思いつかれたのですか。

前田様:起業前は、20年ほど大手の衣料品製造・小売企業で働いていました。商品開発からショップ店長まで幅広く経験してきた中で、障がい・病気を持つ方の洋服に関する悩みを聞く機会が何度かあったんです。この声にお応えしたいと思い会社に色々提案したのですが、事業モデル的に難しく実現できませんでした。でも、困っている方々のお役に立ちたい、これをビジネスにしたいという想いは捨てられず、退職して起業することにしました。

―では、今回の共創のきっかけや経緯について教えてください。

橘様:三井ガーデンホテル柏の葉パークサイドは、国立がん研究センター東病院の敷地内にある、病院と連携したホテルで、私は当ホテルのサービスの企画を担当しています。開業前から数年かけて、どんなサービスがホテルにあれば、患者さんやご家族の心身の負担を軽減できるか、東病院と協議を重ねてきました。食事や備品など様々なお困りごとがあるのですが、服に関する困りごとについてもずっとお聞きしていました。例えば、患者さんは治療の影響で肌が敏感になったり、手術の傷ができたり、身体の一部が動かしづらくなり今まで普通に着ていた服が着られなくなるようです。最初はメーカーさんと組んですでに販売されている患者さん用の服をホテルに導入するというイメージを描きました。それでいくつかのメーカーさんに当たったのですけれど、先ほどの前田さんのお話と同じで、私もまったく上手くいかなかったんです。そんな中で昨年、国際ユニヴァーサルデザイン協議会が主催する『IAUD国際デザイン賞』のファッションデザイン部門を『キヤスク』が受賞されているのを見て、偶然そのサービス内容を知りました。「これだ!」と思って、ウェブサイトの問い合わせフォームからご連絡したんです。何のコネクションもなく表玄関からドアノックしたんですが(笑)、なんと即レスをいただきまして。そこからはトントン拍子にお話が進んだんです。

[三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド プレスリリース]
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2022/0620_01/

前田様:『キヤスク』は基本的にオンラインサービスですが、オンラインだけだとどうしても届けられない方もいます。多くの方に知っていただく機会をつくりたいと思い、リアルでのイベントを検討し始めたところだったんです。タイミングもとても良かったです。

医療現場は当然病気を治すことが最優先なので、洋服など日常生活のことについてはサポートしきれない部分もあるんですよね。看護師さんたちは患者さんが毎日困っている姿を目の当たりにしていて、もどかしい思いをされているそうです。
また、患者さんによって洋服に求めるポイントは一人ひとり違うので、量産を前提としたアパレルメーカーさんですとどうしてもビジネス的に難しいんです。橘さんのお話を伺って、『キヤスク』ならお役に立てると思い、ご一緒することにいたしました。

細かい気持ちや具体的な要望を伝えられる、洋服のお悩み相談会を毎月開催。なんでもお気軽にご相談ください。

―今回の『服のお直し相談会』について具体的な内容を教えてください。

橘様:三井ガーデンホテル柏の葉パークサイドの1階ロビーで毎月1回、気軽に服のお直しについてご相談いただけます。服の悩みごとであれば何でも相談できますし、その場で注文していただくこともできます。宿泊者やがん研究センター東病院の患者さん以外の方でも、どなたでもご参加いただけます。2023年の6月にスタートしまして、特に期限は設けておりません。継続的に開催していきたいと思っています。

前田様:服に関する悩み、何をどうしたいかは本当に一人ひとりまったく違います。実際、『キヤスク』のお客様の半分以上はメニューには無い内容のお直しをされるんです。ですから、細かい気持ちや具体的な要望を伝えられるリアルの場はとても貴重だと思います。また、どこをどう直すと着られるようになるか、といったことはご自分ではお分かりにならないと思うので、実際のモノを手に取って見ることができるこの機会をぜひご活用いただきたいです。

橘様:また、私たちがまだ気づいていないニーズもたくさんあると思うんです。お話の内容によってはその場では解決できないこともあるかもしれないですが、まず人に聞いてもらうだけでも気が楽になるということもあるかと思いますし、私どもにとってはそれがニーズの発見になり、今後のサービス開発に繋がります。ですので、洋服に関わる悩みについて、なんでもお気軽にご相談ください!

[服のお直し相談会 詳細ニュースリリース]
https://corp.gardenhotels.co.jp/pdf/info-20230728-2.pdf

宿泊時だけではなく、ご帰宅後の患者さんの生活が少しでも便利になる、そんなホテルにしていきたい。

―では最後に、今後に向けた想い、メッセージをお願いいたします。

前田様:患者さんご本人はもちろん、看護師さんや介助されているご家族のご相談にも乗りたいです。「あそこに行けば話を聞いてもらえる」という場・存在になれたら嬉しいです。
また、『キヤスク』は今までになかったサービスですので、存在が社会に知られ浸透するのに少し時間がかかるだろうと思っています。ここで様々な事例をつくっていって、それを周知することで、多くの方に知っていただければ。直接私どものお客様にならなくても、「ああいう場所があるならいざという時安心だな」と知っていただくだけでも嬉しいです。

橘様:病気になってしまって大好きだった服を着るのは諦めている方々に、諦めなくていいんだ、ということを知っていただき、そして着たい服を着ていただけたら嬉しいです。おつらい治療生活の中で、せめて好きな服を着ることで少しでも前向きな気持ちになっていただければ。

前田様:『キヤスク』では、新品の服ではなく思い出の服をお持ちになる方が多いんです。バリバリ仕事をしていたときのブランドの服とか、兄弟でお揃いで買った服とか。そういう方々の思いに寄り添って、思い出のある大切な服をずっと着続けられるようにしたいです。
また、とは言え大変な毎日の中で、洋服のことにかけられる時間・労力はそんなには無いですよね。患者さんや介助者さんにとって時間はとても大切です。あくまで気軽・手軽に、それを実現できるようにしたいんです。

橘様:私は3年前から今のホテルのプロジェクトに携わっていますが、何も分からないところから仕事を始めました。もちろん最初は戸惑ったんですが、仕事を進めながらある時、私が考えるべきことは「患者さんのために」ということ、それしかないな、と思ったんです。当ホテルのような病院と連携したホテルは日本でも珍しく、何か新しいサービスを導入しようとするとき、始めから上手くいくわけではありません。試行錯誤しながら多くの関係者を巻き込み進める必要があるのですが、「患者さんのために」という強い想いがなければ続かないんですよね。前田さんのような患者さんファーストで考えてくださる企業さんとのご縁はとても貴重なものだと感じていて、今後そういった仲間を増やし、一緒にホテルを進化させていきたいです。

具体的なサービス進化の方向性としては、たとえば日々の食事に困っている一人暮らしの患者さんが、このホテルでのサービスを帰宅後もオンラインで頼むことが出来る、というような、宿泊時だけではなく、ご帰宅後の生活が少しでも便利になる、そんなホテルにしていければと思っています。

そして、今はこの『三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド』は特殊なサービスを提供する特殊なホテルですけれど、ここでやっていることは誰にとってもいいサービスだと思いますので、これをすべてのホテルのスタンダードにしたいです。現段階ではそれはもちろん夢ですが、それに向かって一歩一歩、取り組んでいきたいと思います。

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