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TOPICS【株式会社ミールセレクトインタビュー】「どんなに忙しい人でも美味しくて健康的な食事を手軽に楽しむことができる、そんなサービスを開発しています。」

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  • KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)
  • 株式会社ミールセレクト

先日、KOIL会員企業の株式会社ミールセレクトが、柏の葉で実施してきた実証事業を完了し、事業化に向けて次のステップへ進むことを発表しました。
住民として柏の葉に来たことをきっかけにKOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)で起業。様々な街のプレイヤーとの共創でここまで事業開発を進めてきた株式会社ミールセレクトの代表取締役 八田麻紗子さんに、これまでの経緯と今後の構想についてうかがいました。

忙しい共働き家庭などを対象に、高品質スーパーの美味しい手作り惣菜を店頭価格で配送します。

ー八田さんはまず住民として柏の葉に来て、その後起業されたんですよね。

はい。私が最初に柏の葉に来たのは、2020年3月です。当時私は都内に住んでいて、大手総合商社でモビリティ分野の新規事業開発や商品販売を担当していました。その関係で東京大学の自動運転バスの実証実験を見に来たんです。来てみると美しくて魅力的な街で、感動しました。リモートワークをするならこんな街がいいなと思い、その年の6月に柏の葉に引っ越してきました。
住み始めてしばらくして、住民起点で街づくりを進めるプログラム「みんなのまちづくりスタジオ」が始まることを知って、2020年12月、プログラムスタートと同時に参加しました。ちょうどその頃、コロナ禍のため家で食事する機会が増えていたのですが、既存の食品宅配サービスに不満を感じて、新しい食品配送サービスを思いついたんです。「みんなのまちづくりスタジオ」で知り合うことが出来た多くの方々の中に三井不動産の関係者もいらっしゃったので、そのアイデアを話してみたところ、ポジティブに受け止めてくださったので、この街でなら実証事業ができるのではないかと思い、KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)に入会し、法人登記。これが21年11月でした。
この時点ではまだ会社員を続けながら事業計画を組み立てていたのですが、柏の葉で実証事業が出来るメドが立った22年2月末に退職し、3月から最初の実証事業を始めました。

―あらためて御社の事業内容を教えてください。

弊社は、食品宅配サービスの開発と運営を行うスタートアップです。複数の高品質スーパーのお惣菜を、ご自宅の玄関までお届けします。配送2~3日前に注文を締め切る受注製造型食品宅配サービスの構築により、フードロスに起因するコストを削減。お惣菜などのデリケートな冷蔵食品を店頭価格で宅配するサービスの実現を目指しています。
近年、女性の社会進出が進んだことで、「家事の時短」に対する需要は高まり続けています。また、単身や共働き世帯の増加に伴い、生鮮食品から調理食品にニーズが移ってきています。こうした社会背景のもと、コロナ禍もあり、食品類のEC市場は急成長を続けていますが、既存のサービスに不満を抱えている方も少なくないようです。と言うか、私自身、その一人でした。自分で調理するタイプのミールキットは実質30~40分の調理時間が必要で思ったより大変ですし、お惣菜宅配のサービスは店頭で販売されているお惣菜に比べ商品の質と量が足りないという声も多いようです。
そこで弊社では、費用対効果の高い高品質スーパーの冷蔵惣菜に着目しました。実際、当社で計6回実施した試食会でも、高品質スーパーの冷蔵惣菜は既存の惣菜宅配サービスに比べ質も量も高い評価を集めています。これを店頭価格で宅配出来れば、多くの方に喜んでいただけるのではないかと。スーパーさん自身によって惣菜宅配サービスを行う試みも一部すでに行われてはいるのですが、本格的な導入にはハードルもあるようです。そこで、弊社のサービスにより高品質スーパーのお惣菜とユーザーを繋げることを考えました。自社で一からノウハウや仕組みを構築して自前でお惣菜をつくるよりも合理的ですし、複数のスーパーのお惣菜を扱うことで商品ラインアップを増やすこともできます。

マンションでの食品配送実験はかなりハードルの高いもので、これが実現できたのは、柏の葉で、KOILで起業したからこそ得られたアドバンテージでした。

―サービス形態を固めるまで、3回の実証事業を重ねてきました、その内容はどのようなものだったのでしょうか。

まず最初は施設管理側の許諾をいただきやすいKOILで、KOIL会員さんを対象にランチの宅配を行いました。これはユーザー層は本来の想定とは違うのですが、まずは仕入れやオペレーションの試行を目的としたものです。これを踏まえECサイトやオペレーションを改善し、配送センターも確保。4ヶ月にわたる準備を経て、三井不動産所有の賃貸マンション1棟450世帯を対象に第2弾の実証実験を行いました。大手デベロッパーのマンションでの食品配送実験はかなりハードルの高いもので、これが実現できたのはKOILのコミュニティマネージャーのアドバイスや三井不動産、管理会社の三井不動産レジデンシャルサービスなどの全面的なご協力をいただけたからだと思っています。柏の葉で、KOILで起業したからこそ得られたアドバンテージでした。この第2弾の実証はマンション住民さんを対象に実際のサービスを想定したもので、ここでユーザーのニーズ把握などの多くの知見を得ることが出来ました。これによりECサイトをさらに改善するとともに管理システムを全面的に見直し、2022年の11月から最終フェーズとして第3弾の実証事業をスタート。分譲および賃貸のマンション約3,000世帯を対象に本格的にサービス提供することで、サービスとシステムの最終的な詰めを行いました。これは私も最初は知らなかったのですが、分譲マンションは所有者が住民に移っていて、管理組合で意思決定しているため、どんなにデベロッパーさんのご協力をいただいていても、実証実験を行うのは簡単ではないそうです。これが実現できたのは関係各社のご協力のほか、何よりも柏の葉の住民の皆さんが「スタートアップが新しい技術やサービスを開発するのをみんなでサポートしよう」という意識を強く持っていらっしゃるからで、他の街では難しかったと思っています。本当に有難かったです。

実証実験の結果は、こちらにレポートを公開しています。ご協力いただいた街の皆さまにもぜひご覧いただければ嬉しいです。
https://drive.google.com/file/d/1-GDj80Bjrno_ulC6UDeRsUOAsOCjY9dk/view?usp=sharing

―実証事業を通じて活用されたKOILのコミュニティマネージャーのサポートや、KOIL会員との共創について教えてください。

コミュニティマネージャーのお二人にはその時々のステージに合ったアドバイスを多くいただきました。事業計画の整理やプレゼン資料のチェックから、広告コピーやデザイン、ムービーのディレクションに至るまで、まるで共同経営者のように伴走していただいています。直近では、出資を検討いただいているVC(ベンチャーキャピタル)のヒアリングに同席いただいて、弊社の可能性や課題についてご説明いただきました。
また、弊社のニーズや相性なども考慮した上で、WEB制作や映像制作などのクリエイターや、WEBマーケティングのコンサル、社会保険労務士などをご紹介いただきました。この、KOIL会員の皆さんとの共創的なお取引で、当社の事業は大きくスピードアップしたと思っています。元々素晴らしいお仕事をされる方々なのですが、同じKOILという場所で働き毎日のように顔を合わせるので自然に人間関係が築かれ、その中で仕事をするのでお互いにいい加減なことはできないですし、よりお互いの役に立とう、という気持ちが生まれます。正式な発注をする前から普通に打合せに入っていただいたりしましたね(笑)。また、他のKOIL会員さんから経営者仲間として外部の発注先をご紹介いただき、「あの人が薦める方なら安心だな」と思って発注させていただいたというようなケースもあります。

―実証事業を完了し、今後の資金調達、事業ローンチに向けて、直近ではサポートチームにKOILのインキュベーションマネージャーが加わりました。これについてはいかがでしょうか。

先日キックオフの打ち合わせをして、その後さっそく具体的なサポートをしていただいているのですが、とても適切なアドバイスをいただき、もう、感謝しかないです。今まで柏の葉で積み上げてきた状況や事情を最初からすべてご理解いただいていて、関係者との人間関係も出来ている上で、専門家を繋いでいただき、資金調達や事業計画についてアドバイスをいただける。KOILの会員として積極的にコミュニティの中に入り、コミュニティマネージャーやインキュベーションマネージャーを活用することのメリットを強く感じています。

このサービスが実現できれば、多くの人々の人生の選択肢を豊かにすることができます。多様性のある、明るい未来を創る一助になると信じています。

―では最後に、今後の計画や将来構想、夢についてお聞かせください。

2020年に5.5兆円だった調理食品(弁当、調理パンなどの主食的調理食品のほか、惣菜や冷凍調理食品等)の市場規模は2030年までに6.2兆円規模に拡大すると言われています。なかでもスーパーなどで店頭販売されている冷蔵惣菜は、冷凍食品や弁当にくらべ家庭の食事に取り入れやすいため、より大きな需要増が見込まれます。しかし、配送コストや店頭商品数の制約などにより、冷蔵惣菜のEC化は遅れているのが実態なんです。
当社は、独自のECシステムと物流の仕組みを組み合わせ、受注製造型の食品宅配サービスを導入することで、冷蔵惣菜宅配を実現したいと考えています。また、この仕組みを活かして、複数の高品質スーパーやメーカーの美味しいお惣菜を組み合わせて発注でき、店頭価格で自宅までお届けできるようにしたいと思います。

現在の当社のスタッフは私を含め全員女性で、私たち自身が実感していることなのですが、仕事と家事の両立は時間的・体力的・精神的に負担になることが少なくありません。特に女性は、キャリアや家庭など人生の何かしらの選択肢を諦めてしまうこともあります。
家事負担を大幅に低減するサービスが実現できれば、より多くの人々の人生の選択肢を豊かにすることができます。また、様々な家庭環境を抱える人々が社会に関わる機会をつくることにもつながるでしょう。健康で美味しいお惣菜宅配は、多様性のある明るい未来を創る一助になると信じています。まずは首都圏でこの事業のベースを固め、1つひとつ商圏を広げていき、ミールセレクトのサービスを全国に届けられるようにしていきたいと思います。ぜひ応援してください!

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