お問い合わせ

TOPICS【イベントレポート】トークセッション「生活する中で自然に健康になることを目指す ~異業種間企業連携によるPHRサービス開発~」

SCROLL

  • 一般社団法人UDCKタウンマネジメント
  • 株式会社Wellmira

2023年10月28日、柏の葉イノベーションフェスのプログラムの1つとして、PHR(Personal Health Record:パーソナル・ヘルス・レコード、個人健康記録)を活用した健康づくりについてのトークセッションが開催されました。
登壇者は、現在柏の葉で体験型健康サービス事業を共創している、経済産業省ヘルスケア産業課の白根健太郎様、株式会社リンクアンドコミュニケーションの渡辺敏成代表取締役社長、一般社団法人UDCKタウンマネジメントの竹川励さんです。
「PHRを使って自然に健康になる」とは、どういうことなのでしょうか。当日の様子をレポートします。

[柏の葉で展開中のウェルネス体験プログラム詳細はこちらです]
https://plus.calomama.com/wellness-experience-month-2023

今までは医療・健康づくりと日常は分断されていましたが、PHRによってそれが一体になった世界を創りたい。今回の取り組みはその一環です。

経済産業省 白根様:皆さんご存じのように、日本は急速に少子高齢化が進んでおり、社会保障制度も財政的に厳しい状況になりつつあります。経済産業省としては、新しい健康社会の実現に向かって、「国民の健康増進」「経済成長」「持続可能な社会保障制度構築への貢献」の3つを同時に実現することを目指しています。どうやって個人の健康を実現するか、そして健康増進サービスを提供する企業をどういう風に支援していくのか。そのための政策の1つとして重視しているのが、今日のテーマの「PHRを活用した新たなサービスの創出」ということになります。
具体的には、健診や予防接種、病院での診断結果などの公的医療情報と、睡眠や食事、歩行などのライフログデータ、この両方を個人が利活用出来るようになるための環境づくりを進めています。それにより商業施設やオフィスなど、健康づくりとは直接関係ない施設・事業者においても様々な健康サービスが提供できるようになり、皆さんに身近なものになっていくことを目指しています。

僕も今日の昼にラーメン食べちゃったんですけど、健康のための活動ってなかなか行いにくいし、続かないですよね。でもPHRによって健康情報を可視化することで他人が介入したり、1人ひとりの行動や事情に合った健康サービスが提供できるようになれば、「自然に健康になる社会」が実現できると考えています。今までは医療・健康づくりと日常は分断されていましたが、それが一体になった世界を創りたい。今回の柏の葉での取り組みは、そうした活動の一環として「PHRの異業種連携を通じた新たなユースケース創出に向けた実証事業」の公募をしたところ、三井不動産さんとリンクアンドコミュニケーションさんのチームに手を挙げていただき、ご一緒に進めていくことになったものです。

データプラットフォーム×エリアマネジメントによって、実際に住民さんの皆さんのお役に立つサービスを提供していきたい。

UDCKタウンマネジメント 竹川:柏の葉では2020年から、「Dot to Dot」という、データを共有して利活用できる仕組み=データプラットフォームを構築・活用する活動を進めています。こうした取り組みは世界中で進んでいるんですが、データを連携させるだけでは何も起こらないんですね。そこで、このデータプラットフォームを活用したサービスとして「SMART LIFE PASS」という健康づくりのためのポータルを住民の皆さまにご提供しています。そして、ITコンシェルジュによるリアルな場でのサポートで利用を促進したり、倫理審査委員会が第三者視点でデータの扱いなどについて評価する等、エリアマネジメントを通じてこのサービスの開発や利用を促進しています。データプラットフォームの構築そのものが目的なのではなく、データプラットフォーム×エリアマネジメントによって、実際に住民さんの皆さんのお役に立つサービスを提供していきたい。まだまだ道半ばですが、そのための取り組みを進めているところです。
最大の課題は、利用者さんのメリットと事業者の事業性の両立です。その課題を解決するべく、がん研究センター東病院、NTTデータ、オムロンヘルスケア、あるいは製薬会社など様々な事業者・民間企業との取り組みを複数進めておりまして、今回の実証も、その一環です。
そういうわけで、経済産業省さんの公募を受けて事業を組み立てたのではなく、こうした世界観がたまたま経済産業省さんと一致したので応募した、というかたちになります。結果、白根さんとご一緒に進めていけることになりまして、とても嬉しく感じています。

来店・測定体験~行動変容~日常における継続、というプロセスが循環することで、「自然に健康になる生活」を実現します。

リンクアンドコミュニケーション 渡辺様:当社は2002年、日本における健康サービスの黎明期より「カロママ プラス」というサービスを提供してきました。これは、利用者の暮らしに伴走して、食事・運動・睡眠などについてアドバイスをするAIアプリです。「おせっかいアプリ」とも呼ばれていますけれども(笑)、いっぱいおせっかいを焼いて皆さんの健康に貢献したいと思っています。(カロママ プラス:https://calomama.com/

今回の実証事業は、三井不動産(ららぽーと柏の葉)・カゴメ(ベジチェック)・アシックス(歩⾏姿勢チェック)・当社(カロママ プラス)のコンソーシアムで実施しています。
ららぽーと柏の葉に行って野菜摂取量のチェックや歩行姿勢のチェックを行うと、ららぽーとのお店で使えるクーポンがもらえます。帰宅後は測定結果や購入した商品をもとに「カロママ プラス」のアドバイスで日々健康管理ができます。推奨商品のクーポンを発行しリマインドなども行いますので、それによりまたららぽーとにお越しいただく。こういう循環が生まれるサービスを提供しています。

「健康測定体験」→「購買を含めた行動変容」→「PHRサービスが可視化・継続モニタリング」というプロセスが循環し続けることで「自然に健康になる生活」を実現するとともに、繰り返し来店による店舗への送客効果により提供する企業の事業性にもつなげていく、そういう取り組みになっています。すでに実証は始まっていまして、今年いっぱい、12月末までの予定です。すでにららぽーと柏の葉の多くの店舗さんにご参加いただいていて、これからも拡大していきますので、ぜひ多くの方にご参加いただきたいと思います。

個人が健康になって、同時に経済も活性化する世界を創る。今回の実証は、その第一歩。皆さんの参加が、より良いサービスの開発に繋がります。

後半は竹川のファシリテーションによるディスカッション。多くの示唆に富むやりとりが行われました。

―白根さん、あらためて国が民間企業に期待することについて教えてください。

白根様:私たちは経済産業省なので、経済を活性化させなければなりません。しかし今までは、健康と経済活性化がなかなか結び付かなかった。生活者に近い事業者の皆さまと一緒に、ここの課題をクリアしていければと思っています。

渡辺様:健康のために消費者がどれくらいお金を払うのかというと…日本は医療がとても充実していることもあり、健康産業が育ちにくかったという側面があるんですね。当社はまさにその点で苦労を重ねてきたのですが(笑)、でも少しずつ流れは来ている気はしますね。創業した2002年には「メタボ」という言葉は無かった。でも今は一般的になりました。今後は、今は関心のない一般層にもセルフケアの意識が広がっていって、そこに色々な産業が入っていくようにしていきたい。そういう未来が描けるよう、この実証を通じて検証していきたいです。

白根様:直近で言うと、コロナ禍によるトレンドの変化は間違いなくありますね。自分の身は自分で守る、病気になってから治すのではなく、かからないようにする、という意識変容が起こったと思います。
でも、行動変容の動機として「健康になるために」っていうのは難しいんですよね。「キレイになるために運動する」とかはあるんですけど。ですので、別の目的に置き換えて、結果として健康につながる、健康って大事なんだと気づく。そういう設計が重要かなと思います。

―たとえば20年前より「健康になりたい」という人は増えているのでしょうか。

渡辺様:昔は日常的に健康を意識したり行動したりするためのツールが無かったというのはあるでしょうね。今までは万歩計くらいしかなかったですが、現代ではスマートウォッチやスマートフォンなどツールが増えた、進化したというのはありますね。見える化は大事ですよね。今回のベジチェックや歩行チェックがまさにそのためのツールで、客観的に自分の状態が見えるのが、まず第一歩ですね。

―最後に、今回の取り組みについて、あらためてメッセージを。

渡辺様:皆さん健康がだいじなことだとは分かっているのですが、毎日健康について考えている人はいないですよね。ただ、それを強く思うタイミングはある。健康診断の結果を見たときとか、街なかでふとガラスに映った自分を見たときとか。そういう瞬間の動機をつかまえてその後の継続性に繋げていくことが、個人としてもサービスを提供する企業としても大事だと思います。

今回で言えば、ららぽーとできっかけを作って、そこで生まれた動機をクーポンやアプリでバックアップして、継続をリマインドする仕組みがあり、その後またららぽーとに行って…という循環が生まれるように設計しています。今回のプロジェクトは、健康づくりに関するビジネス上の課題を解決するためのヒント、道筋を提示できる可能性のあるものだと思っています。成功させたいですね。

白根様:これからは自分で自分の健康を守ることが必要な時代になってきます。1人ひとりが健康になって、同時に経済も活性化する世界を創っていきたい。今回の実証は、その第一歩。皆さんの参加が、より良いサービスの開発に繋がります。「オトクに健康づくり」、ぜひ参加して欲しいと思います!

―この挑戦は、成功するまで続けていきたいと思います。本日はありがとうございました!

 

一人ひとりは「オトクで健康」になり、社会の経済は活性化する。
そんな未来創りに、ぜひ皆さんもご参加ください!
柏の葉で展開中のウェルネス体験プログラム、詳細はこちらです。
https://plus.calomama.com/wellness-experience-month-2023

 

柏の葉スマートシティのソーシャルメディア

PAGE TOP