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TOPICS【イベントレポート】公開シンポジウム「今、柏の葉で起きていること~地域連携、社会貢献に向けて~」

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  • 東京大学 柏キャンパス・柏Ⅱキャンパス・柏の葉キャンパス駅前サテライト

2023年12月12日、柏の葉カンファレンスセンターで、東京大学大学院新領域創成科学研究科による公開シンポジウム「今、柏の葉で起きていること~地域連携、社会貢献に向けて~」が開催されました。

会場に約70名、オンラインで約100名ものご参加をいただき、大変な熱気の中、徳永朋祥 東京大学大学院新領域創成科学研究科長の開会のごあいさつでイベントが始まりました。

最初は太田和美 柏市長による基調講演。「リーディングコアシティを目指して~柏市の挑戦」と題し、柏の葉の歴史から区画整理の進捗状況、柏の葉におけるライフサイエンス領域での活動内容などをご説明いただいた後、現在策定中の新総合計画について、その基本的な考え方を示されました。従来のベッドタウン型開発に新たな価値を付加し、地域の課題だけではなく社会全体の課題解決をするリーディングコアシティを目指す。そのために柏の葉のシーズがビジネスに昇華するよう支援し、その価値を市民へ還元するとともに課題解決先進都市として人を惹きつける地域にしていきたい、とのお言葉に、会場の熱気が一段と上がるのを感じました。

次に、各領域で活動される皆さまからの話題提供が行われました。
まず、東葛テクノプラザ所長の大竹悦司様から、地域の産業支援施設としての東葛テクノプラザの活動内容をご説明いただきました。最近は創薬・バイオ系が増えてきているという入居企業のプロフィールをご紹介いただき、同施設がスタートアップの成長や企業の事業開発をどのように支援しているのか、具体例を元に解説いただきました。

次に、東大柏ベンチャープラザでチーフ・インキュベーション・マネージャーをされている原田憲一様より、運営者である独立行政法人中小企業基盤整備機構と同施設の概要をご説明いただき、さらにご経験から得られた知見として、学術研究を事業化する際のポイントを投資家の目線から解説いただきました。テクニカルなご説明のあと、「最終的には一番大事なのは思い・理念だ」とお話されたのが印象的でした。

3番目にご登壇いただいたのは、小島利夫 柏市企画部長。社会構造の変化により顕在化する将来の財政リスクに対応するため、居住人口だけではなく人が集まる街を目指し2025年からスタートする新しい総合計画を策定中であることをご説明されたあと、その中心的な施策として柏の葉の強みを活かして健康寿命の延伸とスタートアップ支援に取り組んでいくという決意を語られました。

話題提供、第二部の最初は東京大学執行役・副学長で産学協創推進本部長の渡部俊也様。東京大学のスタートアップ支援について、企業数がこの10年で200社から500社、投資額は数十億円から500億円へと大きく拡大しているというご説明のあと、具体的な事例とともに知見を共有いただきました。地域のネットワークと地域を越えたネットワークを繋げたエコシステムを実現することが重要だというお話に多くの方が強く頷いていました。

次にお話いただいたのは東京大学大学院新領域研究科の藤本博志教授。現在柏の葉で進めている日本初の電気自動車への走行中給電の公道実証実験についてご紹介いただきました。電気自動車に必要なバッテリー容量が劇的に小さくなる点など、走行中給電の社会的意義について解説いただき、また、この実証実験が柏市や柏の葉ITS推進協議会のコミットメントなど柏の葉ならではの公民学連携の枠組みがあったからこそ実現できたという説明をいただきました。

話題提供の最後は、山下和則 三井不動産株式会社常務執行役員。2004年にゼロから始まった柏の葉の街づくりのコンセプトや特長、そして現在進めている多岐にわたる取組み・プロジェクトについてご紹介がありました。柏の葉スマートシティとして、街全体を活用しイノベーションを創出する。健康になる街、幸せになる街を実現する。そして公民学の連携により「世界の未来像」を創り出す。その目標をあらためて力強く共有いただきました。

休憩のあと、「柏の葉の強み・魅力は何か。地域振興に向けたこれまでの取組みと今起きていること」と題してパネルディスカッションが行われました。

モデレータは、ライフサイエンス領域のコミュニティ活性化などに取り組んでいる三井不動産の野村俊之参事と東京大学大学院新領域創成科学研究科 副研究科長の割澤伸一様。
話題提供でご登壇いただいた原田憲一様、藤本博志様、渡部俊也様に加え、柏市経済産業部商工振興課長の北村崇史様、岡本硝子株式会社機能性薄膜事業部長(兼)経営企画本部事業推進部長の田淵泰志様、株式会社FuturedMe代表取締役CEOで東京理科大学客員教授の宮本悦子様がパネリストとしてご登壇されました。

まず、現在の取り組みと柏の葉の魅力・強みについて。
それぞれ現在の活動内容やその中で感じていることをお話される中で、「産業エコシステムの構築には『人』と『文化』が大事」「イノベーションは組織を越えた個が交わるところで起きる」「コミュニティがないとガバナンスも出来ない。手段としてのコミュニティはとても重要」といった見解が確認され、人と人を繋ぐローカルコミュニティとしての柏の葉の魅力が語られました。

2つ目のテーマは、今後に向けた期待と課題、思いについて。
今はインバウンドのチャンスであり、人口減もそのソリューションとして新しい技術を開発するチャンスである。そのチャンスを活かすために、柏の葉は世界の街との競争を意識してもっと明確に文化・特長を世界に発信していくべき、というお話や、共創コミュニティとは言ってもスタートアップの成長には競争は必要不可欠。より活発な競争が行われるよう、スタートアップのさらなる集積が求められているという提言がなされました。

パネルディカッション全体を通じ、行政、アカデミア、老舗企業、スタートアップとそれぞれ違う立場から多岐にわたりお話される中で、皆さま口を揃えて「組織や立場を越えた個人の、インパーソンの繋がりが最も重要だ」ということを語っていたのがとても印象的でした。

東京大学 割澤様の閉会挨拶のあと、会場を移して意見交換会が行われました。
まさに今までお話されていた「組織や立場を越えた個人の、インパーソンの繋がり」が実践され、予定時間いっぱいまで熱心に語り合いました。

このシンポジウムは、今回の成果も踏まえ、大企業や投資家も交えた第2回を来年3月25日に開催予定です。ぜひ楽しみにお待ちください!

 

 

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