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TOPICS【共創事例】Rugby School Japan × KOIL~地域で学びをつくり、ともに学ぶ

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  • KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)

2023年5月、当時開校準備中だったRugby School Japan(以下『ラグビー校』)のご要望にお応えするかたちで、KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)でピッチイベントが行われ、3組のKOIL会員からラグビー校へ、共創による教育コンテンツを提案しました。熱気に包まれたそのイベントの後、3組がそれぞれ実現に向けラグビー校と協議を重ねてきた結果、今年2024年の2~3月にかけて、相次いで実現することが出来ました。
そのプログラムの内容と様子をお伝えいたします。

農業と食料の未来を考える~植物工場研究会との取り組み

最初に実現したのは、特定非営利活動法人植物工場研究会との課外活動です。ラグビー校にはビジネスやマーケティングを学ぶ「Business Studies Club」という課外クラブがあります。その中に植物工場とともに学ぶグループを組成し、「レタスクラブ」と名付けて活動を始めました。

レタスクラブでは、まず2月8日に植物工場研究会と共に千葉大学柏の葉キャンパス内にある植物工場を見学しました。同じ千葉大学の敷地内にある植物工場研究会へは、ラグビー校の玄関を出てまっすぐ歩いて5分ほどで到着。同じ敷地内に世界を代表する植物工場の実践的研究機関があるのはとても素晴らしい環境です。
植物工場とは、水・光・養分等を人の手でコントロールした閉鎖的な環境で作物を育てる技術と、その生産拠点のことです。気候などに左右されずに安定的に生産できる、農薬が不要で安全な作物がつくれる、重労働が必要ないので高齢者や障がい者も含む多様な方の就労が可能になる、環境負荷を減らせる、など、とても多くのメリットがあります。実際に稼働している様子はとても興味深く、海外の研究者・事業者との活動も多い林絵理 理事長や企画・国際部の堀康二さんの英語による説明に、生徒たちは目を輝かせて熱心に聞き入っていました。

そして3月14日、今度はラグビー校で、レタスクラブの生徒たちが考えた植物工場レタスのマーケティングプランの発表会が行われました。植物工場側は、林理事長をはじめ研究者、事業スタッフ、千葉大学の教員など6名が参加。「植物工場レタスの現在と未来」と題した6組のプレゼンテーションは、今日現在のマーケティング戦略におけるターゲット像、販路、パッケージ案等から、気候変動や宇宙開発など未来のニーズを想定した将来計画の提案までがまとめられたみごとなもの。これが生まれて初めてのプレゼンという生徒も多かったそうですが、資料も説明も、今すぐKOILでビジネスを始めてもおかしくないほどのレベルでした。

今回の取り組みにあたり、ラグビー校が植物工場研究会の特別会員になったとのことで、今後サイエンスやアートなどの領域で様々な連携プログラムを展開していく構想もあるそうです。これからの活動が楽しみです。

自分が本当にやりたいことを見つける~Kashiwa-no-ha Entrepreneur Education Day

 

3月2日土曜日には、株式会社アールワン・プロフェッショナルの渡辺裕二さんによる「Kashiwa-no-ha Entrepreneur Education Day」が開催されました。渡辺さんは多くのKOIL会員とともに長年にわたり高校生向け起業体験プログラム「夢マルシェ」を開催しており、今回はその特別版です。ラグビー校の生徒8名と地元の高校生4名、計12名が参加しました。

このイベントの目的は起業家になることではなく、強い意志と使命感を持って挑戦している起業家のお話を聞き、ワークショップを行うことにより、自分の夢や本当にやりたいことを見つけるきっかけとすることです。

カードを用いた自己紹介のあと、まずは起業家によるゲストトーク。1人目は、訪日外国人旅行客向けのグルメ特化型プラットフォーム「byFood.com」を軸に、食料不足や食品廃棄物削減などを目指して世界を舞台に活動している、株式会社テーブルクロスのCEO 城宝薫さん。そして2人目は、手賀沼でのエコツーリズム事業や地産地消レストラン等の経営と柏駅前でのコワーキングスペース運営などを通じて、「地元力」を活かした地域活性化に取り組む、合同会社EDGE HAUS代表の油原祐貴さんです。
グローバルとローカル。まったく逆の立場・視点から、この世界をより良くしたいと活動しているお二人のお話を、生徒の皆さんは真剣な眼差しで聞きいっていました。

映画ハリーポッターシリーズで有名な「ラグビー校の食堂」でのランチのあと、午後は働きかたを考えるワークショップです。KOIL会員の遅野井宏さんのファシリテーションにより、「自分はどんな働き方をしたいか?」をみんなで考えました。「一緒に働きたい人、働きたくない人ってどんな人?」という設問に答えたカードを並べ、その共通点から自分にとって譲れない価値観を見つける。そして、それを元にディスカッションすることで、これまでに出会ったさまざまな人との出会いを振り返り、仕事観を見つめ直す。自己理解を深めることで幸せな働きかたを見つけよう、というメッセージを込めたワークに、みんな熱心に取り組んでいました。

週末の1日をかけた長いプログラムでしたが、終了後のアンケートでは好意的な感想が多く寄せられ、生徒たちにとってとても意義深い時間になったようでした。

自然の姿を模倣して、持続可能なデザインを創る~バイオミミクリー体験

Entrepreneur Education Dayと同じ日、一般社団法人バイオミミクリー・ジャパンの理事、東嗣了さんによる「初めてのバイオミミクリー体験ワークショップ」も行われ、ラグビー校の子どもたちと地域の人々が一緒に学びました。

バイオミミクリーとは、ギリシャ語で「生命」を意味するbiosと「模倣」を意味するmimesisを組み合わせた造語で、生命・自然界における形状、プロセス、生態系から学び、それを模倣していくことで、より持続可能なデザインイノベーションを生み出すことです。…と言われても抽象的で少し分かりにくいかもしれません。そこでまずは、東さんから具体的な事例をご紹介いただきました。
たとえば新幹線がトンネルに入るとき、とても大きな音と空気振動が生まれます。これを軽減するデザインを考えていた技術者がヒントにしたのは、すごいスピードで水に突っ込んでみごとに魚を獲る、かわせみのくちばしでした。また、ニューヨークでは毎年10億羽もの鳥が高層ビルのガラスに衝突して死んでいるそうです。そこである企業は、クモの巣をヒントに、人間の目には透明だが鳥の目には網目が見えるガラスを開発しました。

こうした事例を学んだ後、生物のカードと、生物をヒントに開発した商品のカードを、マッチングさせるゲームを行いました。マジックテープはひっつき虫を、ある高級車の塗装は生きた宝石と言われる美しい蝶の羽をヒントに開発されたそうです。

ここであらためて地球の歴史を俯瞰。地球の歴史を1年に圧縮すると、人類が誕生したのは大晦日の23時30分、産業革命は23時59秒に起こったことになります。自然の叡智から学ぶのは当然のこと、という説明に、参加者は深く頷いていました。

そして最後に、実際にデザインを1つ考えてみるチャレンジを行いました。ブロメリアという植物を観察し、その形状と機能・特長の関係を言語化。それを踏まえて、柏の葉やラグビー校の役に立つイノベーティブなデザインアイデアを考えます。地域の大人たちと生徒たちがグループになって話し合い、家具、建築、公園など、短い時間で素晴らしいデザインアイデアが生まれました。

大人と子どもたちが一緒に学び、アイデアを出し合う。オープンでクリエイティブな空気に満たされた素晴らしいプログラムでした。

 

相次いで実現した、ラグビー校×KOILによる学びのプログラム。「子どもが地域の大人から教わる」のではなく、「地域のリソースを用いて大人と子どもが共に学ぶ」のが、その本質です。これからも、学習コンテンツはもちろんスポーツやアート/カルチャーまで領域を拡げ、様々な活動が生まれてくることを期待したいと思います。

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