【共創事例:柏市×災害モンスター研究所】「新しいコト、やったことが無いことはNGとなることが多いんですが、柏では『それは日本初ですね!ぜひやりましょう!』となるんです。」
TOPICS参画企業と街が共に成長し、社会課題解決を目指す。柏の葉スマートシティ 共成長ビジネスプログラム「CO-GROWTH」始動!
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- 一般社団法人UDCKタウンマネジメント
- 三井不動産株式会社
UDCKタウンマネジメントではこのたび、柏の葉スマートシティのアセット・仕組み・機能を企業のニーズに合わせてカスタマイズして提供するエンタープライズ向け共成長ビジネスプログラム、「CO-GROWTH」を立ち上げました。
このプログラムの内容や狙い、設計に込めた想いについて、UDCKタウンマネジメント/三井不動産柏の葉まちづくり推進部の小林悟に聞きました。
「CO-GROWTH」は、柏の葉ならではの環境・特長を活かして企業の事業開発・マーケティングを実現するための、新たな仕組みです。
―まず、このプログラムの概要について教えてください。
柏の葉スマートシティでは、コンパクトなエリアに住宅、オフィス、学校、研究機関、商業施設などが集まっています。そして、リアル/デジタルの両方でプレイヤーの挑戦や共創を促すプログラムや仕組み、組織などがあり、街で暮らす人や働く人、アカデミアや企業、自治体、そしてインフラが有機的に関わりあう生態系(エコシステム)が形成されていると自負しています。
以前より、柏の葉スマートシティのこうした環境・特長を活かして研究開発や実証実験、あるいはマーケティングを行いたい、というご要望を企業からいただくことがあり、これまでも可能な範囲で場の提供や共創を進めてきました。近年そういった事例も増え、そろそろきちんと整理して仕組み化した方が良い、というか、いよいよ仕組み化出来る時期になったと思い、このたびこのプログラムを立ち上げました。
「CO-GROWTH」は、柏の葉スマートシティにおける企業活動をワンストップで受け入れる仕組みで、主に企業向けの有償プログラムです。ビジネスのR&D(研究開発)フェーズから、PoC(実証・社会受容性検証)、実装・発信までを、参画企業のニーズに合わせてカスタマイズして提供します。
企業は柏の葉ならではの環境・特長を活かして、今までには無いかたちでの事業開発やマーケティングを行うことが出来ます。そして、それに参画する街のプレイヤーも企業と共に成長していく。柏の葉スマートシティとしては、テーマである「世界の未来像をつくる街」の実現を加速する活動・コンテンツを増やすことができる。そんな、関わるすべてのプレイヤーが果実を得ることができる仕組みを目指しています。
詳しくは、こちらのリリースをぜひお読みいただければ嬉しいです。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/1121_01/
―企業が組織の外の多様なプレイヤーとともにイノベーションを起こす取り組み…いわゆる「オープンイノベーション」のための仕組みと理解して良いのでしょうか。
そうですね。まさにそういうことだと思います。
「変化が著しく、予測困難で、不確実性が高い」という現在のビジネス状況を指す言葉として、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った「VUCA」という言葉があります。企業がVUCA時代に対応して持続的な成長を実現するための方法のひとつとして、多くの企業がオープンイノベーションを指向しています。
オープンイノベーションという言葉じたいは今や新しいものではないですし、それを目指している組織、その環境やノウハウを提供するというプレイヤーも珍しくはありません。柏の葉においても、11年前に「柏の葉オープンイノベーションラボ(KOIL)」を開設以来、折に触れこの言葉は使われてきました。ですが、イノベーションを起こすのはそんなに簡単なことではないですし、まして大手企業が旧来の仕組みや文化を変えてオープンイノベーションを実現するのには多くの困難を伴います。ですので、「この街でなら、オープンイノベーションが実現できますよ」とは、そう軽々しく言って良いことではないと思ってきました。
ですが、まちづくりを進めていく中でこの数年、「今なら自信を持って、柏の葉はオープンイノベーションのためのフィールドです、と言っても良いのではないかな」と思えるようになってきたんです。そのようなタイミングでいくつかの具体的なオファーをいただき、今回、企業向けのソリューションとして「CO-GROWTH」を整備することにいたしました。
「挑戦・共創」という柏の葉の文化は、まさにオープンイノベーションに必要な価値観。今の柏の葉でなら、企業と街のプレイヤーが同じ価値観のもとで活動することができると信じています。
―柏の葉をオープンイノベーションのフィールドとして打ち出して良い時期だ、と思われたという、その理由はどういったものなのでしょうか。
まず、最初にも申し上げましたが、柏の葉では2006年の街びらき以来18年にわたり、1つひとつコツコツと施設をつくり、仕組みや組織を整備してきました。そして、子ども向けのエンタメからビジネスイベント、学術的な議論まで、幅広いイベント・プログラムを数多く行ってきました。その結果、今、柏の葉には、多くの住宅と商業施設、日本を代表する研究機関や大学、企業が立地し、そこで暮らす・働く人の豊かなコミュニティがあり、そうした皆さまの活動を支援するソフト・ハードのインフラが、デジタル・リアルの両面で整備されています。また、最初から「公民学連携」で一緒に街づくりをすすめてきましたので、住民、民間企業、アカデミア、行政機関はお互いに交渉したり許可をもらう相手ではなく、ものごとを一緒に進めるパートナーです。何か新しいことをやろうというときのチームビルディングや合意形成がとてもスムーズに行えています。
そして何より、これは定性的・感覚的な話なので公式リリースでは書けなかったのですが、そうしたファクトをベースにして、いま柏の葉ではこの街独特の「挑戦を受け入れ、オープンに共創する」という文化が生まれているんです。
これは今までの18年間街づくりに携わってきた方々、街で活動をしてきたすべての方々のおかげだと思っています。ここまで来るのには、多くの汗と時間が必要でした。
―「挑戦を受け入れ、オープンに共創する」というのは重要な価値観ですね。もう少し詳しく教えてください。
先日、柏市と災害モンスター研究所の防災訓練における共創が実現したときに関係者がおっしゃっていましたが、柏の葉では誰かの挑戦に対して「それはやったことが無いからダメだ、やめておこう」ではなく、「それは初めてじゃない?面白い、やってみよう!」となることが多いんです。誰かが何か新しいことを始めようとするときに、それを笑ったり否定したりせずに、「いいね、やろう。何か私がやれることある?」となる。これは住民さんからビジネスパーソン、研究者まで、柏の葉で何かを始めたことのある多くの方が異口同音におっしゃっています。
そうした空気感、文化のもと、これもこのサイトの「TOPIC」記事内において柏の葉で実証実験をした方が皆さん言っていますが、実証実験に参加する住民さんの積極さ、協力度合いが違うんです。実証実験と聞くと、「新しいものを創ろうと頑張っている人がいるなら協力しようじゃないか」と。
私自身の実体験として印象的だった事例としては、モビリティ系の実証実験で「個人的にはそこまで車にも運転にも興味ないけど、役に立てるならと思い参加しました」という方が複数いらっしゃったということがあります。また、先日の柏の葉イノベーションフェスでも、あるイベントに参加した方がアンケートで「楽しかったし、勉強になりました。次回やることがあったら、お手伝いしたいのでご連絡ください」と書いてくれていました。楽しかったですで終わりではなく、手伝いたいですというのは、驚きでした。
―素晴らしいですね。なぜそのように積極的に参加してくれるのでしょう?
これもエビデンスや数値の無い感覚的な話ではあるんですが、ひとつには、柏の葉がまったくゼロからつくってきた新しい街であることに起因していると思います。良くも悪くも前例というようなものがなく、既存の組織などもなかった中で、今いる人々で力を合わせてひとつずつ創ってきた。
それから、柏の葉が初期から「世界の未来像をつくる街」というメッセージを発信してきたことも強く関係していると思います。住民さんもそうですし、KOILの会員としてビジネス活動をしている方々にも、このメッセージに共感して柏の葉に来た方が多くいらっしゃいます。最初から「共創による挑戦」をするために街に来たという方が多いんです。
さて、この「挑戦を受け入れ、オープンに共創する」あるいは「共創による挑戦」という個人ベースの価値観を企業の事業活動の目線で捉えると、それこそまさにオープンイノベーションですよね。オープンイノベーションを目指す企業と街のプレイヤーが、同じ価値観のもとで活動する。今の柏の葉でなら、それが実現できると信じています。
「産業デベロッパー」として、柏の葉を、世界課題の解決と日本経済の発展を進めるプラットフォームにしていきたい
―とてもワクワクするお話ですね。最後に「CO-GROWTH」を通じて実現したい未来、今後の展開イメージなどについて教えてください。
ちょっと違う角度のお話をしますと、このプログラムは経済的な持続性・自立性のあるエリアマネジメント活動のためのものでもあります。豊かな地域づくりのための活動はとても重要なものですが、その原資をどうするのかがどの街でも課題になっています。税金など公的資金では出来ない領域の活動もありますし、一方で営利団体である企業が負担し続けるのにも限界がある。そこで、UDCKタウンマネジメントという街づくりのための組織が、街のみんなで生み出す価値を経済価値に変換するというスキームに新たな可能性を感じています。エリアの価値をお金に変えて、そのお金をエリアマネジメントに回す。そのことによって柏の葉の街づくりに経済的なサステナビリティをもたらすことが出来ればと思っています。
また、さらに広い視点で申し上げると、「CO-GROWTH」を通じて多くの企業の事業開発に貢献しイノベーションを実現することで、柏の葉を日本経済の発展を進めるプラットフォームにしていきたいです。三井不動産では近年「不動産デベロッパーを超えた産業デベロッパーを目指す」と言っています。柏の葉がその「現場」になっていかなければならないと思っていますし、そのポテンシャルがあると信じています。
そしてもちろん、「オープンイノベーションを実現するためのフィールド」を謳うからには、「CO-GROWTH」にとどまることなく、そのポテンシャルを具体的なソリューションとするためのさまざまな仕掛け、仕組みづくりも引き続き進めていきます。
柏の葉スマートシティへの多くの企業のご参画を、お待ちしています!
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