TOPICS【ハツメイノハ2024優勝者インタビュー】 「社会がもっと子育てに寛容になってほしい。長い道のりですが、地道に活動を続けていきます」
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柏の葉スマートシティを舞台にしたビジネスアイデアのコンテスト、「ハツメイノハ」。第3回となった2024年は、現役高校生の板谷佳琳さん、臼井仁胡さん、岩田明香里さんのチーム、「こまもりプロジェクト」が優勝しました。
事業の内容やハツメイノハに応募した経緯、そして今後の計画などについて、お話を伺いました
こまもりマークを身につけた人が周囲にいれば、保護者の心理的負担を軽減することができます。また、付けている人は「子育て応援してるよ!」とさりげなく表現することができます。
―このたびは優勝おめでとうございます。まず、あらためて「こまもりプロジェクト」の概要について教えてください。
岩田さん:多くの方が、街なかや電車の中などで小さな子供が泣き出してしまう場面に遭遇したことがあると思います。そんなとき、何か手助けしてあげたいと思ってもなかなか言い出せなくて、何もできないことが多いですよね。実際、私もそんな経験がありました。また、今はハラスメントなどにとても敏感な社会なので、さらに行動を起こすことが難しくなっていると感じます。
でも、泣いている子の保護者さんは、申し訳なさから強い孤独感を感じているんじゃないかと思うんです。この状況をなんとかする方法はないかなと考えたのが、「こまもりマーク」です。
板谷さん:妊産婦の方がつける「マタニティマーク」ってありますよね。あれは妊産婦さんご自身が付けるわけですけど、「こまもりマーク」は、「私は子育てしている方の味方ですよ」ということを周りの人々が示すマークです。こまもりマークを身につけた人が周囲にいれば、味方の存在による安心感で保護者の心理的負担を軽減することができます。また、付けている人は「お子さん泣いても怒らないから大丈夫だよ。子育て応援してるよ!」とさりげなく表現することができます。
臼井さん:こまもりマークによって、電車で子供がぐずってしまった時の保護者の心理的ストレスが軽減できると思います。そして、イヤイヤ期の子供を持つ保護者が、子供を連れて街にでかけやすくなります。世代をこえた保護者の繋がりを作るきっかけにもなるかもしれません。
そして、最終的には、日本特有の「考えすぎて結局何もできない」という遠慮しすぎる文化がなくなり、躊躇せずに困っている人の手助けができる社会になればいいなと思っています。また、子育てのストレスを減らすことで、子育て中のうつ病患者や育児放棄などを少しでも減らしたいです。
―小さなアイデアで世の中が大きく変わる可能性のある、素晴らしいプランですね。「ハツメイノハ」優勝のご感想はいかがですか。
板谷さん:今まで小規模なアンケートや実証実験を行って「こまもり」の需要を確認してきたのですが、社会にどれくらい求められているのか、まだまだ検証が必要だと思っています。今回「ハツメイノハ」で優勝することができて、子育てを社会全体で見守るツールはやっぱり必要とされているんだと、自信になりました。これからも精力的に活動していきたいです!
岩田さん : ファイナルプレゼンテーションでは、味覚革命をおこす技術や防災を楽しみながら学べる商品など、革新的なビジネスアイデアがたくさんあって、聞いているだけでとても面白かったです。その中で私たちを優勝に選んでいただき、とても嬉しかったです。これを糧にし、「ハツメイノハ」優勝で得られる機会を通じて、「こまもり」を社会に広める活動を続けていきたいです。審査員さんのご意見やアドバイスでより考えも深まったし、プロジェクトチームのメンバーや他のファイナリストのプレゼンを聞いて大きな刺激になりました。
臼井さん : 率直に、とても嬉しいです!直後は全然実感がなくてふわふわした気分だったのですが、その後テレビ収録だったり、やりとりを重ねたりしているうちに優勝の実感がじわじわと生まれてきました。特に田村淳さんとお会いした時に一番実感したかもしれません(笑)。これまでの2年間で自分たちなりに実証実験を重ねてきて、多くの方に応援していただいてきたので、私たちのアイデアを改めて評価していただけたことと、これからの展望が大きくひらけたことをとても嬉しく思っています。
「こまもり」のビジネスプランは、当事者にも第三者にも、今後関わりたいと思っている企業や自治体にも、そして私たちにも、利益と温かさが生まれるものです。
―3人が出会ってこのビジネスアイデアを考えつき、「ハツメイノハ」に挑戦することになった経緯について教えてください。
臼井さん: 初めて3人が出会ったのは、2022年の夏にCURIO SCHOOLによって開催されたMONO-COTO INNOVATION2022というアイデア創造コンテストの本戦です。運営側が全国各地から集めた本戦参加者でグループを作り、それぞれのグループでテーマに沿ったアイデアをプレゼンする、というプログラムでした。そこで偶然組まれたのが今の私たちなんです。本戦初日はやはり初対面なので、今と違ってみんな緊張していました(笑)。それでもみんなアイデア発想が好きなメンバーでしたし、学年もバラバラ、得意な役割もバラバラなのが逆にうまく噛み合わさって、「こまもりマーク」のアイデアで優勝をいただいたのが、社会実装に向けて動き出すきっかけでした。
そこから様々な自治体、政治家の方、マタニティマークの創始者の方などとのヒアリングを重ね、その都度改良していき、現在の「こまもりマーク」になっています。
そんな中、昨年の8月に「本格的に実装に向けて実績を作ろう」という話になって、コンテストを調べて偶然見つけたのがハツメイノハでした。実は応募締め切り日の夜に見つけて、日付が変わるギリギリまで応募書類を作成していました(笑)。なんとか間に合わせることができ、今回このように評価していただく機会ができて本当によかったです。
―「こまもりプロジェクト」実現に向けた今後の方針について聞かせてください。
臼井さん: このアイデアの源は私たちが実際に体験したこと、感じたことです。個人のニーズから始めたアイデアでしたが、データ収集を通して、私たちと同じ体験をした人や課題に思っている人が多くいることがわかったので、このアイデアを実装させて日本全体に広めたいという思いが以前よりさらに大きくなっています。
板谷さん : 私たちは当初、個人を対象にキーホルダーのような形で「こまもり」を広めていこうと考えていたんです。今もその考えは変わっていませんが、自治体や似たような活動をされてきた先輩方と話し合いをさせていただく中で、認知度の拡大が最も大きい課題であることがわかり、企業やお店に「こまもり」を導入していただくという方法も検討し始めました。今は双方それぞれにニーズがあると考えており、最終的にはどちらも実現したいと思っています。
岩田さん : 「こまもり」のビジネスプランは、当事者にも第三者にも、今後関わりたいと思っている企業や自治体にも、そして私たちにも、利益と温かさが生まれるものです。「こまもり」の拡大によって、社会がもっと子育てに寛容になってほしい。「こまもり」が文化として世間一般に広まるまでは長い道のりですが、地道に活動を続けていきたいです。
柏の葉は、子育て世帯が多くの幸福や充足感を感じることができる街。そこに「こまもり」というコンセプトを導入することでどんな変化をしていくのか、とても楽しみです。
―ところで、「ハツメイノハ」に参加してみて、柏の葉をどう思われましたか。
板谷さん : 企業と自治体、市民のつながりを感じました。ららぽーと柏の葉沿いの道を自治体と連携して高質化したという話や、防犯カメラを活用して歩行者の体調不良や危機を察知するプロジェクトの話が印象に残っています。 また、「街の健康研究所 あ・し・た」などの市民サービスが世代を問わず充実していて、老若男女問わず快適に暮らせる街なんだろうなと感じました。
臼井さん : 実際に柏の葉を訪れてみて、様々な人に対して寛容なスペースやイベント・制度が設けられていて、それがうわべだけでなく本当に機能するように作られているということを実感しました。市民に寄り添って街を発展させてきたのが伝わってきて、柏の葉と組んで実証実験ができたらすごく良いものになりそうだなと感じました。
―では最後に、今後の柏の葉での活動や社会実装に向けた意気込みを聞かせてください。
岩田さん : 先日ある記事で、住み心地の良い街と、幸福度が高い駅ランキングで柏市と柏の葉キャンパスが上位にランクインされているのを見ました。実際に柏の葉に行ってみて、「柏の葉イノベーションフェス」ではたくさんの子ども連れの家庭の笑顔がありました。柏の葉は、子育て世帯が多くの幸福や充足感を感じることができる最先端の街なのだと思いました。そこに「こまもり」というコンセプトを導入してみると、どのような素晴らしいデータや意見を得ることができるのか、さらにどんな変化をしていくのか、とても楽しみです。こんな素晴らしい街で今後実証実験などを行っていけるのが嬉しいです。
臼井さん:まずはお店・個人、次に企業、最終的には自治体での実装を目指してしていきたいと思っています。将来的には日本全体に「こまもりマーク」の認知を拡大し、子育てに寛容な社会、気軽に助け合える文化を実現していきたいです!
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